「頭を打っているかもしれない」 外国人男性の行動に考えさせられた
しかし、外国人男性は慌てる様子は見せなかった。英語とジェスチャーを交えながら、周囲へ呼びかけ始めたという。
中田さんは英語が分からなかったが、泥酔客の様子を心配していることが伝わってきたそうだ。
「どうやら、『倒れた時に頭を打ったかもしれない』『意識を確認したいから手伝ってほしい』と言っているようでした」
中田さんは、その時になって初めて男性の意図を理解した。
「私は、迷惑な酔っぱらいだと思って見ていました。でも彼は、違ったんです」
外国人男性は、泥酔客の頭を慎重に支えながら、声をかけて意識の有無を確かめた。ところが、その直後――。
「何すんだよ!」
泥酔客が突然目を覚まし、怒鳴り始めたという。
せっかく助けようとしてくれていたにもかかわらず、逆ギレしていた。一時はトラブルになりそうな雰囲気だったが、その後駅員が駆けつけ、男性は次の駅で降りることになったようだ。
駅員の対応が終わると、車内には安堵した空気が流れた。すると、誰からともなく、外国人男性へ親指を立て始めた。
「グッジョブ!」「ありがとう」と、声をかける乗客もいたそうだ。
外国人男性も照れくさそうに笑いながら、親指を立て返したという。
「国籍も言葉も関係なく、人を思いやる行動はちゃんと伝わるんだと思いました」
泥酔客によるトラブルが問題視される一方で、体調不良や事故の可能性が隠れているケースもある。見た目だけで状況を決めつけず、異変を見かけた際は周囲と協力しながら冷静に対応することも大切だ。