2024年 4月 23日 (火)

「歩く姿」認証、96%の確率で個人を特定 防犯カメラ映像から犯人捜査、テロ予防も

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   「iPhone X」の発売で「指紋認証」から「顔認証」の時代に入ったことが話題になっているが、今度は「歩く姿」で認証するという研究が発表された。大阪大学産業科学研究所の研究チームがAI(人工知能)を使い、防犯カメラなどの映像から個人を特定する技術の開発に成功した。

   研究成果は、米科学誌「IEEE Transactions on Circuits and Systems for Video Technology」(電子版)の2017年10月9日号に発表された。犯罪捜査やテロの予防に期待できるという。

  • 「歩く姿認証」の仕組み(大阪大学産業科学研究所の発表資料より)
    「歩く姿認証」の仕組み(大阪大学産業科学研究所の発表資料より)
  • 「歩く姿認証」の仕組み(大阪大学産業科学研究所の発表資料より)

服装や髪型を誤魔化しても「歩き方」はウソつかない

   大阪大学産業科学研究所の発表資料によると、人の歩き方(歩容特徴)には個性があり、服装や髪型を変えても変化しない。理論的には防犯カメラなど遠方から撮影した解像度の低い映像からでも個人を特定することは可能だ。だから、個人認証を行ううえで非常に実用的な特徴として期待されている。

   しかし、実際には防犯カメラなどに写った映像は、カメラに対して人の歩く向きや角度、大きさなどが異なるため、従来の技術では歩き方から認証することが困難だった。歩く向きが大きく異なる場合、本人認証の誤り率が最大で約40%もあった(正解率約60%)。

   そこで、同研究所の八木康史教授らの研究チームでは、AI技術の中でも最近特に注目を集めている「深層学習」(ディープラーニング)を用いた高精度の「歩き方認証技術」を開発した。深層学習とは、何層ものニュートラルネットワークを重ねて判断を下すこと。たとえば、何が映っているかよくわからない画像データがあるとする。1つの層だけでなく、何層もの処理を重ねると、人間の顔であることが認識できたりする。

   具体的には、歩く向きの差が小さい場合は、見た目が比較的近くなるため、画像同士の同じ位置での差を特徴として比較する(写真参照)。一方、歩く向きの差が大きい場合は、見た目が大きく異なるため、手の振り方や足の振り幅などの特徴の差を比較する。これらのことをAIに「深層学習」させた。この結果、本人認証の誤り率を約4%(世界最高精度)まで減らすことに成功した(正解率96%)。

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