Episode4 「日本人がこんなに酒好きだなんて知らなかった」

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   セレゴ・ジャパンが運営する学習サイト「smart.fm」は、脳科学や認知心理学をベースにした独自の「記憶管理システム」が最大のセールスポイントだ。社内にはプログラマーのほかに、大学で脳科学や心理学を学んだエキスパートもいる。その代表がハーバード大学院で脳について研究していた"MR.BRAIN"カーク・マックマレー(32)だ。

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最初に勤めた会社はITバブル崩壊で・・・


「サイエンスやテクノロジーが教育をどのように変えていくのかに興味があるんだ」というカーク

   カークは、セレゴ会長のアンドリュー・スミス・ルイスと同じく、ニューヨークのマンハッタン出身だ。ポルトガルで少年時代を過ごしたあと、高校生のときにアメリカに戻り、ジョージタウン大学で認知心理学を学んだ。

   2000年からはニューヨークのネットベンチャーで、社会人向けの教育ビデオを配信するサイトの運営にたずさわった。離婚や子育てなど我々が人生で直面する問題について、専門家がレクチャーする動画を見てもらうサービスだ。カークは商品開発や戦略立案を担当していたが、まだブロードバンド化が進んでいないころ。動画サービスのための環境が整っていなかった。

「ビジネスの構想は良かったと思うが、まだ時代が早かった。ITバブルが崩壊したところへ911(同時多発テロ)も重なって、ビジネスは終わってしまったんだ」

ニューヨークのネイルサロンでの「出会い」がきっかけ

「僕も飲むのは大好き。渋谷、西麻布、六本木、広尾・・・いわゆる『ガイジンエリア』でよく飲んでいるよ」
「僕も飲むのは大好き。渋谷、西麻布、六本木、広尾・・・いわゆる『ガイジンエリア』でよく飲んでいるよ」

   その後、ハーバード大学院に入学して、「MBE」すなわち「Mind, Brain and Education=心と脳と教育」の修士号を取得した。セレゴのことを知ったのはそのころ。たまたまカークの母親とアンドリューの母親が、ニューヨークのネイルサロンで知り合ったのがきっかけだった。

   一方の息子はアメリカで脳科学と教育の研究をしていて、もう一人の息子は日本で脳科学をベースにした学習ビジネスを展開しようとしていた。「一緒に仕事をしたらいいんじゃないの!?」という母親たちの直感は当たっていた。

   何回かメールでやりとりした後に、実際に会ったカークとアンドリューは意気投合し、セレゴのためにカークが来日することになったのだ。日本語を勉強する間もなく東洋の島国にやってきたカークにとって、東京は刺激的な街だった。

「驚いたのは、日本人が大の酒好きだったことだね。日本人というと勤勉なイメージが強かったけど、レストランや居酒屋に行くと、ビールや焼酎、日本酒とありとあらゆる酒を男も女もがんがん飲むので、びっくりしたな~」

いつも複数のことを同時に考えている「ビッグブレイン」

セレゴの「フューチャリスト」が注目しているのはネットの新潮流セマンティック・ウェブ。「2010年はセマンティック・ウェブがもっと広がるはず」
セレゴの「フューチャリスト」が注目しているのはネットの新潮流セマンティック・ウェブ。「2010年はセマンティック・ウェブがもっと広がるはず」

   カークのセレゴでのポジションは、チーフ・プロダクト・オフィサー(CPO)。商品開発の責任者として、smart.fmの全体的な方向性や新機能の導入について知恵を絞っている。

「彼はうちの"ビッグブレイン"だよ」

と言うのは、セレゴCOO(最高執行責任者)のブライアン・ツァイだ。

「頭の回転が非常に速くて、いつも複数のことを同時に考えている。彼のパソコンの画面をみると、ブラウザのタブが50個近く開いていて、いくつものウェブサイトをパッパッと瞬時に切り替えながら、情報を吸収していっている。ウェブ上で何が起きているのかを常に感じながら、我々が今後どうしていくべきかということを考えているんだ」

   カーク自身は自らのことを「フューチャリスト(未来主義者)」と呼ぶ。未来のネットの姿に思いをめぐらすのが大好きなのだ。smart.fmの未来について、彼は次のように語る。

「smart.fmにはユーザ自身が学習コンテンツを作るツールが用意されているが、もっと使いやすくして、コンテンツの共有が進むようにしたい。それから、smart.fmのサイトだけで学ぶのではなく、mixiやfacebook、iPhoneアプリなどさまざまなプラットフォームで利用できるようにしていきたいね」

   では、自分の人生の未来は? そうたずねると「ノープラン!」と笑っていた。

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米国出身の実業家エリック・ヤングとアンドリュー・スミス・ルイスが2000年、東京に設立したベンチャー企業。「人の学習メカニズムを科学的に解明し、学習効率を飛躍的に高める」ことをミッションに、IT技術を生かした独自の学習アプリケーションを開発。07年10月に開設した無料の語学学習サイト「iKnow!」は1年半で40万人以上の会員を集める人気サイトに成長した。09年3月にはサイト名を「iKnow!」から「smart.fm」に変更。語学だけではない、あらゆる分野の知識を学べる総合学習サイトとして新たなスタートを切った。
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