2020年 1月 26日 (日)

映画「マネーボール」に見るコンサルティングの本質

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本業の「間違った思い込み」を見つけ出す醍醐味

   1990年代のアサヒビールの台頭には、住友銀行から送り込まれた当時の社長によって、あるコンサルティング会社のレポートが発掘され見直された経緯があったことは、公知のこととなった。

   80年代は、キリンビールが圧倒的に高いシェアを持っていた。営業力が勝負を決めると考えられていた。ところが、そのレポートには、品質とりわけ鮮度が大切であることが、消費者目線で語られていた。

   営業力の勝負から品質の勝負へと、パラダイム転換を起こした。それが、今日のアサヒビールの躍進につながる。

   映画「マネーボール」の中でも、老練なスカウトマンたちが、主人公が統計にもとづいて選手選びをするさまを見下すシーンが出てくる。このような場面は、きっと変革の現場にはつきものなのだろうと、考えこんでしまった。

   いろいろな分野のコンサルティングがあるから、クライアントの思い込みを解くことだけがコンサルティングだとは思わない。けれでも、クライアントの本業に切り込んで間違った思い込みを見つけ出し、それによって会社の方向性を大きく変えていくことこそ、コンサルティングの醍醐味に他ならない。

   その興奮を知っているからこそ、僕はもう四半世紀もコンサルティングを続けているのだと思う。


大庫 直樹

大庫直樹(おおご・なおき)
1962年東京生まれ。東京大学理学部数学科卒。20年間にわたりマッキンゼーでコンサルティングに従事。東京、ストックホルム、ソウル・オフィスに所属。99年からはパートナーとして銀行からノンバンクまであらゆる業態の金融機関の経営改革に携わる。2005年GEに転じ、08年独立しルートエフを設立、代表取締役(現職)。09~11年大阪府特別参与、11年よりプライスウォーターハウスクーパース常務執行役員(現職)。著書に『あしたのための「銀行学」入門』 (PHPビジネス新書)、『あした ゆたかに なあれ―パパの休日の経済学』(世界文化社)など。
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