2019年 11月 13日 (水)

上司が勧める自宅学習 「え、残業代つかないんですか!?」

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   ITを使って効率的な学習を可能にする「eラーニング」。パソコンやDVDプレーヤーさえあれば受講の時間や場所を問わないので、一人ひとりの都合に合わせて学べるメリットがある。企業での利用も、ここ数年で急速に進んでいるようだ。

   ある会社では、上司からeラーニングの受講を強く勧められた部下が、上司から「自己啓発であって業務ではない」「労働時間にカウントしない」と言われて不満を募らせている。自宅で受講できるところも、混乱の元になりそうだ。

上司いわく「スキル向上は自分のため。会社に感謝しろ」

――食品商社の人事です。当社は社員教育の一環で「eラーニング」を導入しました。「社員が自ら学習する習慣と環境を作りたい」という社長の考えに基づいていますが、運用面ではなかなか苦労しています。

   特に大きいのは「仕事が忙しくて学習の時間が取れない」という問題です。先日、営業のAさんから受けた相談も、「課長からeラーニングの受講を勧められたが、残業代は本当につかないのか」というものでした。

「君はもっとプレゼン能力を磨かないとダメだな」

   営業同行のあと、課長からこんな指摘を受けたAさんは、eラーニングの「プレゼンテーション手法」と「ロジカルシンキング」の科目を受けるよう勧められたそうです。

   しかし、毎日遅くまで残業しているAさんにとって、その日の仕事を終えてからeラーニングに取り組むと、深夜残業になるか自宅に帰ってからやらざるをえません。

   Aさんは「eラーニング分の残業をつけてもいいですか」と課長に聞いたところ。こう叱られてしまったそうです。

「おいおい、自分のスキルを高めるのは誰のためなんだ?自分のためじゃないか。労働時間になるわけないだろ。家に帰ってからもできるんだから、会社から学習機会を提供してもらってることに少しは感謝したらどうなんだ!」

   確かにAさんの不満は分かるのですが、他の社員は就業時間中にやっているので、Aさんの対応に迷ってしまいます――

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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