2024年 4月 20日 (土)

痴漢で捕まり示談 会社に報告する義務はありますか?

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会社の信用や名誉を棄損した場合に限って処分が許される

   では、今回問題となっている痴漢の場合はどうでしょうか。実際の裁判例では、電車内で痴漢をしたケースで懲戒解雇が有効とされた例もあります。もっとも、先に述べたとおり、会社の信用や名誉を棄損した場合に限って処分が許されると考えられますから、痴漢の内容、刑の重さ、犯罪を行った従業員の会社での地位等によっては、会社からの処分が無効となることもありえます。

   ただ、痴漢ではなく、殺人や強姦などの重い犯罪の場合には、一般的にはより会社の信用や名誉に与える影響が大きいと考えられますから処分は有効となる可能性が高いでしょう。

   以上のように犯罪を行ったからといって直ちに会社による処分が許されるとは限りません。しかし、たとえ会社からの処分がなくても、犯罪が許されない行為なのは当然です。日頃のストレスやイライラで人生を無駄にしないようにして下さいね。


ポイント2点

●プライベートのトラブルについてまで会社に報告すべき法的義務はない。したがって、自分の犯した犯罪を会社に報告する必要はない。

●多くの会社の就業規則では、従業員が犯罪を行ったことを懲戒事由として掲げている。しかし、該当の犯罪行為が、会社の信用や名誉を棄損した場合に限って処分が許されると考えられている。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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