2019年 7月 17日 (水)

社長に代わる「エース」はいない 営業育成の落とし穴

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   創業来ある程度まで成長を続けてきた中小企業は多くの場合、社長の営業力が会社の発展を支えてきたという側面を否定できません。

   その成長が踊り場に差しかかると言うのは、社長ひとりの力に頼っていたのでは業績進展が限界に近づいている、あるいは二代目にその座を譲ったり社長のパワーが歳と共に衰えてきたりしていると、営業の後継づくりが喫緊の課題になっているケースがほとんどです。

  • 「エース」がいない……
    「エース」がいない……

ヘッドハンティングの失敗

   こうなった場合に社長が考えることはたいてい、「自分に代わるようなエース営業が欲しい」ということ。しかし、ここには大きな誤りが存在しています。仮に経営者がそれまでの業績をけん引してこられたのは、自社事業に対する思い入れと人並み外れた行動力や人脈構築力があってのことでしょう。経営者に代われる営業担当など、一人として存在し得ないのです。

   社長が自分の代役となるようなエースをつくろうと思っている限り、「いつまでたっても、営業を任せられる後継が育たない」ということになり、ひいては「安心して引退できない」といつまでも会社に居座るような結果にもなりかねません。

   それが最終的には、「後継づくりに失敗して衰退していった過去の優良企業」を生み出す大きな原因でもあるのです。

   「自分に代わるエース営業担当育成」には、それ以外にも思わぬ落とし穴があります。

   機械商社F社の二代目社長は、実父の創業社長が広げてきた営業ルートは引き継いだものの先代の営業力に遠く及ばず、業績ジリ貧状態が続きました。

   再度の営業伸展に向けて二代目が考えたことは、営業部隊にエース営業をつくるべく、ヘッドハントで同業から経験、人脈豊富なベテラン営業を獲得することでした。

   コストをかけて獲得したベテラン営業は、期待に応えて目覚しい業績を積み上げていきました。ところが、実績が上がれば上がるほど「それに見合った給与が欲しい」との見返り要求も大きくなり、社長はまた頭を悩ますことになります。

   給与を上げるコストアップもさることながら、他の社員とのバランスを考え、一人だけ飛び抜けた大幅昇給を渋っていると、アッという間に転職していなくなってしまったのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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