2021年 9月 28日 (火)

【連載】事業承継のサプリメント(その1)どうする多額の連帯債務!?(湊信明)

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裁判所が利害関係の調整を図ってくれる

   「特定調停」を活用する方法もあります。

(1)特定調停とは?

   特定調停とは、債務者(中小企業)の経済的再生を目的として、金融債務にかかる利害関係の調整を図る整理手続の手法のひとつであり、裁判所の調停手続において行われるものです。

   強制的な手続きではなく、当事者間の話し合いと合意に基づいて形成されるもので、非公開で行われる手続きです。

(2)事業承継に伴って特定調停を利用するメリット

   事業承継に伴って、現在の経営者及び後継者の候補者が、金融機関に対して債務額の減額や連帯保証の解除を申し入れても、合意が成立できないことがあります。

   そうしたときは、この「特定調停」を利用することにより妥当な解決が得られる可能性があります。

   それは、特定調停制度では取引先など他の債権者を巻き込むことなく、金融機関に限定して交渉することが可能ですし、裁判所の手続きであり、中立な調停委員が入る公正な手続きであることから、裁判所外での手続きでは消極的であった金融機関も特定調停であれば応ずるということがあるからです。

   また、金融機関にとっても債務免除にも応じた場合には、無税償却ができるというメリットがあり、合意が成立しやすくなっているということもあります。

   さらに、特定調停制度には「17条決定」といって、調停成立の合意が得られない場合に、裁判所が当事者双方の意見を聴いて、当事者双方のために公平に考慮して、職権で当事者双方の申し立ての趣旨に反しない限度で、事件解決のために必要な決定をすることができます。

   そして、当事者が決定の告知を受けてから2週間以内に異議の申し立てをしなければ、調停成立と同じ効力が生じます。調停成立に消極的な金融機関も裁判所の決定に楯をついてまで反対派しない、ということで首を縦に振ることもありますから、極めて有効な制度といっていいでしょう。(湊信明)

湊 信明(みなと・のぶあき)
弁護士・税理士
湊総合法律事務所所長。1998年弁護士登録(東京弁護士会)。約200の会社と顧問契約を締結して、中堅・中小企業に対する法務支援を中心に弁護士業務を行うほか、企業の社外取締役や社外監査役、学校法人の監事などにも就任。企業や組織の運営にも携わっている。
「濁流に棹さして清節を持す」がモットー。
2015年度、東京弁護士会副会長。関東弁護士会連合会常務理事。2017年度、東京弁護士会中小企業法律支援センター本部長代行など。
主な著書に、「勝利する企業法務 ~実践的弁護士活用法―法務戦術はゴールから逆算せよ!」(レクシスネクシス・ジャパン)「小説で学ぶクリニックの事業承継 ―ある院長のラストレター」(中外医学社)「伸びる中堅・中小企業のためのCSR実践法」(第一法規)などがある。
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