深刻化する中小企業の「2025年問題」 あのドラッカーに「後継者の育て方」を学べ!
「経営チーム」の重要性
実際に多くの企業で経営チームが実践されており、有効に機能したこと示す証言も多い。米百貨店JCペニーの元CEO、アレン・クエストロム氏は、こう述べている。
「現代の企業が直面する問題はきわめて複雑に絡み合っており、スピード経営が要求されている今日の環境では、たった一人で立ち向かうのは不可能だ。だから、経営チームが必要だ」
複数人で構成する経営チームがあれば、メンバーの一人が入れ替わったとしても、大きなリスクにはならない。後継者の育成手段としても経営チームをつくって事業を運営することが要諦になるという。
経営を社長一人の力で続けていけば、いつまで経ってもトップマネジメントの仕事ができる人材は育たない。また、どの幹部が経営の仕事に適していて、どの幹部が適していないかということがわからなければ、後継者選びは、社長の「見る目」だけに委ねられてしまう。
ドラッカーは「トップがワンマンの組織では、トップの継承が常に問題となり、賭けとなる」と述べる。
著者は、中小企業では従業員が50人くらいの規模で、また年商規模では30億円になるあたりから、経営チームの仕事に専念できる人が3人くらい必要になってくると指摘。小さな会社では、社長、営業部長、経理担当者が経営業務を担っていることが多く、この3者をうまく移行させるのがいいようだ。
現状では、年商100億円規模の企業でも経営チームを持たない場合が多い。そうした企業ではたいてい「上は事業の成長がつくりだす重荷に耐えるのが精一杯で、中間層は上が何を考えているのかわからなくなるために、方向性を見失い、現場は上の考えが伝わってこないために常に混乱している。すべてが後手に回り、問題解決に引きずり込まれている状態に陥る傾向にある」という。