2021年 4月 15日 (木)

【襲来!コロナウイルス】急浮上「9月入学・新学期」に戸惑う受験生や教育現場 「安倍政権に明治以来の大改革ができるの?」の声が殺到する理由

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国際化のチャンス! 「9月入学」は意外に簡単?

   ところで、手続き上の問題はどうなるのか。産経新聞「『9月入学』議論に熱」によると、入学を4月から9月に変えること自体は意外に簡単だという。

「4月に新学年の始業を迎える現行制度は学校教育法施行規則で規定されているだけで、制度改正のハードルはそう高くない。すでに、大学は2008年の規則改正で学長が独自に学期始めを定められるようになった」
「9月入学」導入を目指し、挫折した東京大学
「9月入学」導入を目指し、挫折した東京大学

   実際に東京大学は2011年、優秀な留学生が集められない背景には、国際的には「9月入学」が主流で、日本が遅れていることにあるとして、「9月入学」導入を検討した。しかし、高校卒業後の空白期間や、多くの企業の採用時期とずれるため断念した経緯がある。

   ただし大学入学以外では、課題は山積みだ。日本経済新聞「9月入学、実現へ課題多く 移行期の調整必要、法令の改正多岐に」が、こう説明する。

「学校は子どもの受け皿になっており、移行期の4月~9月について、保育所の受け入れ態勢を検討しなくてはならない。3月卒業にあわせて設定している公務員など公的資格試験とのずれの調整も必要だ。これまでの『年度制』を基本とした関係法令の改正も不可欠だ。会計年度を規定する地方自治法や財政法など多岐にわたる」

   というから、行政の膨大な作業にくわえて社会のコンセンサスが必要になる。

   さて、「9月入学・始業開始」になると、どんなメリット・デメリットがあるのだろうか。産経新聞と日本経済新聞(ともに4月29日付)の表をまとめると、こうなる。

【メリット】
(1)休校措置が長期化した場合にうまれる教育格差を是正できる。
(2)秋入学が主流の海外と合わせることで、留学がしやすくなるし、優秀な留学生も受け入れやすくなる。また、国際化を促すことになる。
(3)受験時期が夏になり、積雪やインフルエンザなどに左右されなくなる。
(4)(今年度にかぎり)遅れた学習を焦らずに取り戻すことができる。
【デメリット】
(1)就職時期や国家試験の日程などの見直しが迫られる。
(2)4月から始まる国や地方自治体の会計年度とズレが生じる。
(3)ここ約100年間、「4月入学」が文化・習慣になってきたため、国民的な理解が得られるか不透明。
(4)(移行期)私立校の収入減による経営悪化が懸念される。

   ネット上では、どんな意見が多いのだろうか。ヤフーニュース「みんなの意見」が「新学期の9月開始、どう思う?」と緊急アンケート調査を行ったところ、2020年4月29日正午現在(投票総数6万5247票)では、「賛成」(72%)、反対(22%)、「どちらとも言えない」(6%)で圧倒的に多くの人が賛成だった。

   しかし、個々の投稿意見を見ると、「反対」の人のほうがほとんどという、不思議な逆転現象がみられる。

   まず、「賛成派」の代表的な意見をみてみよう。

「9月入学は、欧米や中国など世界の多くの国々が採用しており、外国人留学生も増えることになるだろう。ただ、卒業が夏になるので、多くの企業や官公庁で4月に新卒者を採用する雇用慣行がネックとなる。日本企業も通年採用を増やせば、学生もボランティア活動や海外留学などに充てる『ギャップ・イヤー』(編集部注:高校卒業から大学への入学、大学卒業から大学院への進学までの期間のこと。欧米ではこの期間をあえて長く設定し、その間に大学では得られない経験をすることが推奨されている)を取りやすくなるメリットがある。9月入学は、日本の教育制度や雇用慣行などを幅広く見直すいい好機になる」
「この際だから、今だからこそ、現実的に検討して欲しい。子どもファーストで考えることが大切だ。このまま5、6月もまともな授業ができない状態が地域によって続くようだと、学力格差がかなり大きくなり、受験が不平等になる。既存のしがらみを脱却して変革するチャンスだ」
「混乱はあると思うが、だらだらコロナが続き、また1か月、また1か月と延長し続き心が乱されるくらいなら、9月スタートにしてもらったほうが気持ちはスッキリする」
「私は中学生の子供がいますが、9月スタートでも全員1年留年でも賛成です。一番イヤなのは、見切り発車で休校を解除して、またちょっと登校しては感染者が増えて、また休校の繰り返しで、子供たちの心身が摩耗することです。どちらにしても9月スタートを決めて、その間のオンライン授業の整備を急いで欲しいです」
高校3年生「自分たちの代だけなぜ混乱続きなの?」

   一方、反対の意見では、制度改正にともなう疑問点を指摘する人が多い。こんな意見に代表される。

「素朴な疑問ですが... 今年9月の小学1年生は今年8月までに生まれた子も入るのですか? そうなると1学年だけ人数が1.5倍になってしまいますが、これまで通りの生まれ月でいくのかな?」
「私もそれが疑問。今年新1年生の子の中で9月~3月生まれの子たちはまた1年間1年生をやらないといけないわけですか? それではおかしいから、学年は今まで通り4月~3月で切って9月始まりにすればいいんじゃない?」
「今、保育園年長のわが子は、来年8月まで保育園児で、9月に入学? しかも1学年下の4月から8月生まれの子も同時に入学? 年中から一気に小学生に? 何がなんだかわからなくなったから、考えるのをやめました」
入学式といえば桜の季節が定番だが......(写真はイメージ)
入学式といえば桜の季節が定番だが......(写真はイメージ)

   確かに、拙速に「9月入学」に移行した場合、「泣く人」もまた非常に多く出てくるだろう。9月入学自体には賛成だが、移行期に泣く人が多数出るため、実際にやるのは困難だという声はわからないでもない。

   また、「欧米並みの制度に」という賛成派に対しては、こういう疑問の声もある。

「このまま延期する形での9月入学が導入されると、欧米並みの9月入学になるのではなく、欧米から1年遅れの9月入学になる。日本では6歳の9月に小学校入学。欧米では5歳の9月に就学開始。日本では19歳の9月に大学入学、欧米では18歳の9月に大学入学。永遠に日本人は欧米から見たら、小学校入学時点で国民全員すでに一浪している状態と同じ。いったい日本の教育はどうなるのでしょう。これでどう世界と戦えと?」

   さらに反対者の多くは、「この混乱のさなかに、さらに混乱を招くつもりか!」「受験生が気の毒だ!」という怒りの声だ。

「半年前に民間試験での大学入試改革でさえできなかった政府に、こんな短期間で明治以来の教育制度を変えられるとはとうてい思えません」
「高校3年生です。いろいろな案を出して下さることはありがたいのですが、残り4か月で舵をきることは現実的ではないと思います。共通テストの記述式の失敗に加え、これ以上の混乱を自分たちの代から始めてほしくありません。この問題は何年もかけて議論した上で実行すべきことだと思います」
「インフルや大雪の時期に入試がないからいいという意見が散見されるが、7月~8月の入試では台風や猛暑の心配もあるわけで、冬の入試と差はないと思います」

   そうでなくてもコロナ対策に追われている教育現場や行政の現場が、さらに大混乱に陥るという声が多かった。

「各地の事務が大混乱するぞ。学校や市町村の教育委員会だけじゃない。児童手当や扶養の問題が絡むから、税務関係の役所もパニックだ。奨学金関係はもう動き出しているから今からシステム変更すると大混乱。学校で必ず行わなければならない検診もずれる。医療現場も今でさえ大変なのにさらに混乱する。職業系の高校に求人を出す企業はもうハローワークに求人票を出す6月に向けての採用計画を立てている。これも変更するのか? 今年はやるべきではない」
「教育現場で働いているものです。自分も基本9月入学・始業は賛成ですが、今年からの開始は無理です。入学式が終えている学校もあり、授業が開始されている学校もある。修学旅行や運動会などの年間行事の再検討、職員の給料や退職金の見直し、全教科の教育計画の見直し、来年3月で雇用期間が切れる職員などなど学校だけでも問題が山積みです。しかもこれらを4、5か月で、コロナと戦いながら、少数出勤の現状の中で検討していかなければならないと思うと...気が遠くなります」
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