2021年 5月 8日 (土)

「人類史的なエネルギー転換」が起きようとしている【震災10年 いま再び電力を問う】

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太陽光発電で電気料金は「タダ」同然になる

――太陽光発電の最大のメリットはなんでしょうか。

飯田さん「太陽光発電は、自然エネルギーによるものですから発電時に燃料を消費しないので、経済的にも化石燃料を節約できます。CO2(二酸化炭素)も排出しないので、地球環境にも優しく、放射能も発生しません。設備機器は中国産かもしれませんが、エネルギーは純国産です。いまや『一番安いエネルギーが太陽光発電である』というのが世界の認識です」

――日本で太陽光発電が進んだ場合、電気料金はどこまで安くなるのでしょうか。

飯田さん「究極的には電気料金は『タダ』同然になります。設備のコストは20年ぐらいですから、いま設置されている設備のコスト負担は10年後ぐらいから徐々に減っていきます。今後、太陽光発電を増設するためのコスト負担は過渡的には増えますが、30年、40年のスパンで捉えていくと、コスト負担はゼロになっていきます。さらに太陽光発電の設備の価格も国際価格に収れんしていくことで、コスト負担の金額も小さくなり、電気料金が『タダ』同然になる日も、近くなっていくでしょう。
つまり、国家レベルでも地方レベルでも、太陽光発電の推進はエネルギー、お金、経済を地域循環できるチャンスといえます。今の日本は、クルマや産業用部品で稼いだお金で、原油や天然ガスを買います。その金額は、GDP(国民総生産)500兆円の5%にあたる25兆円にもなります。現在の化石燃料や原子力へのエネルギー依存の構造であれば、将来、クルマが売れなくなったり、産業用部品が売れなくなったりしても、原油や天然ガスは買い続けなければなりません。エネルギーの自立に走っていかないと、海外との競争で経済的にも不利な状況に陥るのは明らかです。それにもかかわらず、現在の日本は再生可能エネルギーを封じ込めようとしているわけです。せっかくのチャンスを逃していますし、世界から『日本は遅れている』と見られています」

(聞き手 牛田肇)


プロフィール
飯田哲也(いいだ・てつなり)
環境学者
特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所 所長

京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻修了。国際的に豊富なネットワークを持ち、21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク(REN21)理事、世界バイオエネルギー協会理事、世界風力エネルギー協会理事などを務める。2011年3月の福島第一原子力発電所の事故発生以降は、経済産業省資源エネルギー庁、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会委員(~2013年)や内閣官房原子力事故再発防止顧問会議委員(~2012年)、大阪府、大阪市特別顧問(~2012年)など、政府や地方自治体の委員を歴任。日本を代表する社会イノベータとして知られ、自然エネルギーの市民出資やグリーン電力のスキームなどの研究と実践と創造を手がけ、いち早く「戦略的エネルギーシフト」を提言した。
主な著書に「エネルギー進化論」(ちくま新書)、「エネルギー政策のイノベーション」(学芸出版社)、「北欧のエネルギーデモクラシー」、共著に「『原子力ムラ』を超えて ~ポスト福島のエネルギー政策」(NHK出版)などがある。
1959年、山口県生まれ。

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