「官製相場」が背景。今は総裁選で盛り上げている
一方、今回の「バブル超え高値」に警戒感を示す専門家も少なくない。
立教大学の金子勝特任教授(財政学)は、東京新聞(9月15日付)の取材にこう答えた。
「独立行政法人年金積立金管理運用(GPIF)による株式運用や、日銀の上場投資信託(ETF)買い入れで株価を支える『官製相場』が株高の背景にある」と指摘。国の後ろ盾があるという安心感から海外投資家が乗り込んできた。東京と名古屋の2市場の年間の売買状況をみると、ここ5年、日本株を買う海外投資家の割合は金額ペースで7割を占めている。さらに、コロナ禍で比較的余裕のある日本人が参戦してきた。外食や旅行ができず、お金が余っている。金子氏は、『低金利の銀行に預けないで株で運用する人が目立つ。みんなが『この相場を崩すな』という空気をつくり、何でも株価上昇のネタにしている。今は自民党総裁選という政局で盛り上げている」
と、危ぶのだった。
経済アナリストの森永卓郎さんも、東京新聞(9月15日付)の取材に、こう危機感をあらわにした。
「今の株価は実体経済と真逆。完全なバブルだ。バブルはいつ崩壊するかわからない。それでも必ずはじけるのがバブルだ。今のバブルは以前のITバブルなどより長引いている。高い株価に不安を抱いている投資家もいる。何かのきっかけで大きな売りが出ると、売りが続出して一気に株価が落ちるだろう」
崩壊の引き金になりかねないのが、米連邦準備制度理事会(FRB)が長期金利を引き上げた時だ、と森永氏は推測する。株より安定運用できる債券にお金が流れるからだ。