2024年 4月 20日 (土)

生き残りをかけた「地銀改革」! その光と影とは? ―地銀業界分析2021―(慶応義塾大学 八田潤一郎さん)【企業分析バトル】

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頼みの綱は有価証券運用か

図1:京都銀行保有株式の状況(出典:個人投資家向け会社説明会資料2021年3月)
図1:京都銀行保有株式の状況(出典:個人投資家向け会社説明会資料2021年3月)

   そうとはいえ、まだまだ厳しい環境にあるのは、一目瞭然だ。銀行の稼ぐ力をみるには、さまざまな指標があるが、貸出や役務利益を中心の構成されるコア業務純益は外せない。しかし、コア業務利益には有価証券利息配当金が含まれており、これらを除外すれば(本業利益などといわれる)より一段厳しい状況がうかがえる。つまり、極めて有価証券運用に依存していることがわかる。

   もちろん、京都銀行のように任天堂や日本電産を筆頭に、京都に本社を置く企業に5%ルール内で投資をし、銀行の規模を上回る含み益と驚異的な簿価利回りと配当を得て、利益の多くを稼ぎ出す地銀もある。

   その一方で、有価証券運用そのものが地銀生き残りの策とは言い難い。『フィデアHD、他業界と競合へ 有価証券運用などに活路』(日経新聞2021年7月30日付)と報じられているように、経営統合で有価証券運用の規模拡大の生き残りを模索する例があるが、これは運用のプロである、証券や保険業界への挑戦を意味するわけだ。

   外部に委託や人材を召喚すれば、地銀の役割を問われる。加えて、京都銀行のように地元企業に投資するケースなら理解を得られても、他県・他国に投資し、利益の大半を稼ぐようになれば地銀の存在意義が問われる。

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