2024年 4月 24日 (水)

「未接種者」向け求人サイトやマッチングサイトも登場! ワクチン義務化で加速するドイツ社会の分断(高橋萌)

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「お子さんのクラスで、新型コロナウイルスの陽性反応が出ました」

   冬休みが明けてから、上記のような「Pooltest Positiv!(プールテスト陽性!)」というメールが検査室から送られてくる頻度が急増し、各家庭を震撼させています。

   ドイツ北西部ノルトライン=ヴェストファーレン州(NRW)の小学生は現在、毎週2回のPCR検査を受けています。これはクラス全員分の検体をまとめてテストにかけ、全員が陰性か、誰か1人でも陽性がいるかをふるいにかけるための検査――通称「プールテスト」と呼ばれています。

   息子と席を並べる級友が陽性だったという報告を受ける日々は、どこかで誰かが感染している未知の何かだった頃の新型コロナウイルスとは全く違うインパクトを持って私たちの生活に影を落としています。

   それもそのはず、ドイツの1日当たりの新型コロナ新規感染者報告数は、2022年1月末、20万人を突破しました。

   私たちができる感染予防は、手洗いやマスク着用などの基本的な衛生管理、そして「ワクチン接種」と言われています。しかし、ドイツ政府がワクチン義務化をめぐる議論を進める中、市民はワクチン肯定派と否定派に大きく二分されています。

恋人も仕事もワクチン未接種者同士で...

   ドイツでは2月4日時点で、新型コロナワクチンの1回目を接種した人が75.9%、2回目完了が74.2%、3回目のブースター接種を完了した人が53.6%と、7割を超えてからの摂取率が伸び悩んでいます。

2022年2月4日時点でのドイツの7日間指数は1.461。新規の報告数は1日24万3379人。新型コロナワクチンの1回目接種を終えた人の割合は75.9%(出典:ZEIT ONLINE)
2022年2月4日時点でのドイツの7日間指数は1.461。新規の報告数は1日24万3379人。新型コロナワクチンの1回目接種を終えた人の割合は75.9%(出典:ZEIT ONLINE)

   恋愛・婚活マッチングサイト「Gleichklang」が行った、新型コロナワクチンの接種・未接種についての意識調査によると、ワクチンを接種した人のうち72.5%が「将来のパートナーがワクチンを接種することを重視する」と回答。逆に、ワクチン接種を拒否している人の68.6%が「パートナーにも政府のコロナ対策に批判的な考えを持つ」ことを求めているそうです。

   つまり、一般的によくある見た目や学歴、趣味と同様、ワクチン接種の有無もパートナー選びの決め手になる時代となったのです。

ワクチン未接種者用の求人サイト「Impffrei.work」のトップページ
ワクチン未接種者用の求人サイト「Impffrei.work」のトップページ

   そこに登場したのが、新型コロナワクチン未接種者のためのマッチングサイト。求人サイト「Impffrei.work」や、恋人やパートナーを探す「IMPFFREI;LOVE」、旅行サイト「impffrei reisen」などが、2021年夏頃から次々に誕生しています。

   3月16日以降にワクチン接種(または回復証明)が義務付けられる医療関係の求人も「Impffrei.work」には出ています。今後、義務化を無視して未接種者を採用する病院や介護施設が出てくるのではないかという心配、ワクチンの効果についてフェイクニュースを引用しているとの指摘もあります。

   現在ドイツでは、2回以上のワクチン接種証明か回復証明がないと、小売店でお買い物することもできません。高まる社会的圧力とストレスに、仕事も恋も同じ考えを持つ人とつながりたいと思うのは、ある意味で当然の流れかもしれません。

カフェの店内に「2G+」とある。これは、店内で飲食ができるのは、2回のワクチン接種証明か、回復者証明に加えて、24時間以内の陰性証明。もしくは、ブースター接種を完了した人
カフェの店内に「2G+」とある。これは、店内で飲食ができるのは、2回のワクチン接種証明か、回復者証明に加えて、24時間以内の陰性証明。もしくは、ブースター接種を完了した人
高橋 萌(たかはし・めぐみ)
高橋 萌(たかはし・めぐみ)
ドイツ在住ライター
2007年ドイツへ渡り、ドイツ国際平和村で1年間の住み込みボランティア。その後、現地発行の日本語フリーペーパー「ドイツニュースダイジェスト」に勤めた。元編集長。ドイツ大使館ブログでは「ドイツ・ワークスタイル研究室」を担当。サッカー・ブンデスリーガ大好き。日本人夫とバイリンガル育児に奮闘中。
Twitter: @imim5636
神木桃子(こうぎ・ももこ)
神木桃子(こうぎ・ももこ)
ドイツ在住ライター
島根県生まれ、東京・多摩育ち。物事の成り立ちを知りたいと大学では有機化学を専攻。小売業界でのオーガニック製品や地域産品のバイヤーを経て、2014年よりドイツに移住。「もっと心地よくグリーンな暮らしへ」をテーマに、ドイツのマーケット情報やトレンド、ライフスタイルについて執筆活動中。3歳になる娘と日本人の夫との3人暮らし。
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