営業の最終ステップ「クロージング」の前に...成約させるには「値引き」してもいいものなのか?(大関暁夫)
「値引きありき」の営業はよくないが、例外的に「値引き」してもいいケースとは
さらにもうひとつここで重要なことは、オプション提案部分について原則その場で応諾をもらうために、「セールス」の場に、より最終決裁者に近い人を「引っ張り出す」ことです。
以前の記事でも、「セールス」の前段である「ヒアリング」ステップの目的として、真のニーズの聞き出しと共に、セールス提案の予算規模が相手の社内決裁上、誰が決裁権限者になるのかを聞き出すことであると申し上げました。
それは、「セールス」の場により決裁権限者に近い人から、「セールス」当日のオプション提案に「小さな応諾」をもらうためなのです。
「小さな応諾」材料となるオプション提案が、どうしても考えつかない場合はどうするのか。その対策は、極力「セールス」から諾否回答までの時間を短くすることです。
たとえば翌日中、遅くも3日後には回答リミットを設定するとか――こういった努力は必要です。黙って相手の言いなりで一週間後を回答期限にするなら、その一週間は相手社内でネガティブ・キャンペーンが展開されることは間違いなく、提案成約の確率は大きく下がるでしょう。さらに、回答期限も設けず相手の意向に任せるなどは、成約放棄にも等しいと考えるべきなのです。
ではどうやって諾否回答までの時間を短くするのか、です。ここで初めて、営業活動において禁断といえる「値引き」の検討が登場します。
「期限付きですが、弊社社長のOKを取り付けましたので、明日中に応諾をいただければ、設計費用を無料とさせていただきます」
こうすることで、期限付値引き提案が有効となるのです。筆者は常々、「値引きありき」の営業は営業力向上の足を引っぱるダメ営業である、と申し上げているのですが、このように回答期限を設けて応諾回答を引き出すための値引き活用は、例外的に可能であると考えます。(大関暁夫)