2024年 5月 19日 (日)

営業の最終ステップ「クロージング」の前に...成約させるには「値引き」してもいいものなのか?(大関暁夫)

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「値引きありき」の営業はよくないが、例外的に「値引き」してもいいケースとは

   さらにもうひとつここで重要なことは、オプション提案部分について原則その場で応諾をもらうために、「セールス」の場に、より最終決裁者に近い人を「引っ張り出す」ことです。

   以前の記事でも、「セールス」の前段である「ヒアリング」ステップの目的として、真のニーズの聞き出しと共に、セールス提案の予算規模が相手の社内決裁上、誰が決裁権限者になるのかを聞き出すことであると申し上げました。

   それは、「セールス」の場により決裁権限者に近い人から、「セールス」当日のオプション提案に「小さな応諾」をもらうためなのです。

   「小さな応諾」材料となるオプション提案が、どうしても考えつかない場合はどうするのか。その対策は、極力「セールス」から諾否回答までの時間を短くすることです。

   たとえば翌日中、遅くも3日後には回答リミットを設定するとか――こういった努力は必要です。黙って相手の言いなりで一週間後を回答期限にするなら、その一週間は相手社内でネガティブ・キャンペーンが展開されることは間違いなく、提案成約の確率は大きく下がるでしょう。さらに、回答期限も設けず相手の意向に任せるなどは、成約放棄にも等しいと考えるべきなのです。

   ではどうやって諾否回答までの時間を短くするのか、です。ここで初めて、営業活動において禁断といえる「値引き」の検討が登場します。

「期限付きですが、弊社社長のOKを取り付けましたので、明日中に応諾をいただければ、設計費用を無料とさせていただきます」

   こうすることで、期限付値引き提案が有効となるのです。筆者は常々、「値引きありき」の営業は営業力向上の足を引っぱるダメ営業である、と申し上げているのですが、このように回答期限を設けて応諾回答を引き出すための値引き活用は、例外的に可能であると考えます。(大関暁夫)

大関 暁夫(おおぜき・あけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役 企業アナリスト
東北大学経済学部(企業戦略論専攻)卒。1984年、横浜銀行に入行。現場業務および現場指導のほか、出向による新聞記者経験を含めプレス、マーケティング畑を歴任。全国銀行協会出向時には対大蔵省(当時)、対自民党のフロントマンも務めた。中央林間支店長に従事した後、2006年に独立。銀行で培った都市銀行に打ち勝つ独自の営業理論を軸に、主に地域金融機関、上場企業、ベンチャー企業のマネジメント支援および現場指導を実践している。
メディアで数多くの執筆を担当。現在、J-CAST 会社ウォッチ、ITメディア、BLOGOS、AllAboutで、マネジメント記事を連載中。
1959年生まれ。
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