「伝染歌」
歌うと死ぬ「不気味な歌」に女子高生パニック

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   Jホラーに登場するツールを見ると、「リング」ではビデオを見た人が死に、「着信アリ」では携帯が使われた。そこで企画の秋元康は考える。若者の身近にあるのは、次は歌でありカラオケだと。

(C)2007「伝染歌」フィルムパートナーズ
(C)2007「伝染歌」フィルムパートナーズ

   歌といえば、99年にドイツ&ハンガリー映画で話題になった、実話がベースの「暗い日曜日」がある。第二次大戦直前のハンガリー。レストラン経営者とその恋人、それにピアノ弾きの3人が愛情を分かち合う。ナチス将校の横恋慕。ピアノ弾きがオーナーの恋人の誕生日に贈った曲「暗い日曜日」は大ヒットするが、将校を含め聞いた人の自殺が多発したという。この実話を元にした映画も企画の原点でありオマージュだと秋元は考える。

   「口裂け女」や「人面犬」などと同様に、この種の話題は都市伝説となって広まる。この映画の宣伝に、パルコの女子トイレで落書き風に足跡のスティッカーを張ったそうだ。そこからメロディーが流れ、さらにQRコードから公式サイトに誘導するという都市伝説に乗じたPRを仕掛けた。

   学校のカフェテラスで自殺した女子高生、香奈。居合わせたあんず(大島優子)は香奈が不気味な歌を口ずさんでいたのを聞く。一方、風俗雑誌MASACAの記者・陸(松田龍平)は街で、歌うと死ぬという「伝染歌」の噂を知る。10年前に発売になった「僕の花」が伝染歌、歌った者は死ぬ。別々の動機から伝染歌を調べていたあんずと陸は出会うことになる。

   ホラーと言えば一瀬隆重Pと中田秀夫や清水崇たちの専売特許だが、秋元康は「着信アリ」シリーズで一角に食い込み、この作品では「突入せよ!『あさま山荘事件』」の原田真人監督を引っ張り出した。しかし原田は、ホラー映画は初めて。少女ものは「おニャン子ザ・ムービー 危機イッパツ!」など経験がある。「少女たちは都市伝説を経て生き残った者が大人になる。少女たちの通過儀礼としてホラーものを撮った」と語っている。

   しかし原田の演出は怖く無い。かなり無理な進行と映画の文法を無視した時間軸で、見る者を戸惑わせることもしばしば。だが作詞家秋元康の原作だけに、伝染歌の歌詞が総ての要因となってくるのは興味がそそられる。主役の陸を演じる松田龍平は無表情の能面での演技はいつものことだが、ここでは適役。上司・太一の伊勢谷友介は夏でも黒いコートを着ていて不気味。女子高生たちを演じる大島優子や秋元才加、小嶋陽采、前田敦子は皆、秋元康プロデュースのアイドルグループAKB48のメンバーで、殆どがド素人の映画初出演。こんなことで良いんですかね?

   ホラーものも種が尽き、どんなものを持ち出してもデジャビュ感覚は拭えない。怖く無いから面白く無い。

恵介
オススメ度: ★★☆☆☆
伝染歌
2007年日本映画、松竹配給、2時間8分、2007年8月18日公開
監督:原田真人
出演:松田龍平 / 大島優子 / 伊勢谷友介
公式サイト:http://www.densen-uta.jp/index_p.html
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