「エディット・ピアフ~愛の賛歌~」
ストリートチルドレンからシャンソンの女王へ

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   今ではもうシャンソンは前世紀の遺物みたいに思われているが、戦後フランスから「巴里祭」などの映画と一緒にシャンソンがどっと入って来た。僕もシャンソン喫茶「銀巴里」に入り浸り、丸山明宏(今の美輪明宏。昔は美男だった)、戸川昌子(作家になる前)、仲代圭吾(達矢の弟、ビロードのような声)、くどうべん(東北弁で歌う)に聞き惚れていた。宝塚出身の越路吹雪のシャンソンは絶品。特に「愛の賛歌」は聴く人を夢の境地へ誘い込む。本場パリのシャンソンの女王がエディット・ピアフだ。彼女の伝記映画ならば、シャンソンで育った年配の男女は見逃せないだろう。

(C)2007 LEGENDE-TF1 INTERNATIONAL-TF1 FILMS PRODUCTION OKKO PRODUCTION s.r.o.-SONGBIRD PICTURES LIMITED
(C)2007 LEGENDE-TF1 INTERNATIONAL-TF1 FILMS PRODUCTION OKKO PRODUCTION s.r.o.-SONGBIRD PICTURES LIMITED

   面白いことにアメリカでのタイトルは「ラ・ヴィ・アン・ローズ」(ばら色の人生)、日本では「愛の賛歌」。勿論同じピアフの得意なレパートリーだが、どちらの曲がよりヒットしたかでタイトルが異なる。日本でも「ばら色の人生」は人気があるが、比較にならないほど「愛の賛歌」の人気が高い。ピアフ=「愛の賛歌」と一元的に結びつく。

   エディット・ピアフの生涯は映画になるほどドラマティックだ。パリの貧困地区の路上。映画は、シャンソンを歌って小銭を集める母親を遠くに見ているストリート・チルドレンのピアフから始まる。その母は幼いピアフを見捨て、売春宿を経営する祖母に預ける。娼婦たちはピアフを可愛がるが、戦争から戻った父親が昔の大道芸人に戻り、ピアフを連れて旅廻りを始める。やがて生来の才能で父と街角で歌う唄が認められるようになる。初めて人々からお金を貰った唄は国歌「ラ・マルセイエーズ」だ。

   クラブのオーナー(ジェラール・ドパルデュー)に注目され「ラ・モーム・ピアフ」(小さな雀)という芸名で一気にブレイクする。大歌手となり華やかな大劇場で拍手喝さいを受けるピアフ。しかし愛する人が事故で死に、殺人の嫌疑などで薬に溺れるようになり、周りに当たりちらすビッチなピアフ。病院に収容され、坂道を転がるように人生は暗転する。

   ピアフを演じるマリオン・コティヤールが素晴しい。ピアフには似ていないが雰囲気を充分出している。小柄で眉を薄く半月に描き、唇を真っ赤に塗り、大きなジェスチャーで歌う。声は流石にピアフの歌に吹き替えているが、セリフの声質は歌と違和感が無い。「体や口の動かし方、小さな息遣いまで」研究したという演技でピアフそのものの迫力を出す。

   冒頭から流れるシャンソンの数々。アメリカ公演のテーマ曲「ばら色の人生」、1コーラスだけの「愛の賛歌」「パダンパダン」「フルフル」「ミロール」など、馴染んだ曲のオンパレード。晩年持ち込まれた、美しく悲しいメロディと歌詞の「水に流して」が、47歳で死ぬことになるピアフの締めくくりとなる。「自分の人生を何も後悔していない」と。

恵介
オススメ度: ★★★★☆
2007年フランス・チェコ・イギリス映画、ムービーアイ配給、2時間20分、2007年9月29日公開
監督・脚本:オリヴィエ・ダアン
出演:マリオン・コティヤール/ ジェラール・ドパルデュー / パスカル・グレゴリー
公式サイト:http://www.piaf.jp/
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