2018年 7月 20日 (金)

「打ち合わせ嫌いなんです」大林監督の仕事流儀

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   先日、あるインタビュー番組で大林宣彦監督にこう言われてしまった。

   「打ち合わせ、嫌いなんですよ。何度も同じ事言わなきゃならないし、台本の型どおりに話が進むのも、面白みがないでしょう。」

   さぁ、困った。諸先輩からの教え、そして自分のつたない経験上、打ち合わせで番組は決まるといっても過言ではない。それなのに、打ち合わせをしない・・・

   番組で大林監督をゲストに迎えるのは、山本晋也カントク。

   仕方がない。番組直前の"打ち合わせ"はなしだ。それでも長年親交があるという二人の映画監督に昔話から近況、次回作の話をしてもらって本番を迎えれば、ちょうど二人のテンションも上がっていいかな・・・おこがましくも私は思っていた。

   と、その時、山本カントクがカバンからおもむろに、大きなファイルを取り出した。友人のプロデューサーから借りたという、半世紀ほど前の古い映画の激レアなパンフレットだった。しかもパンフレットは、台本に明記してある大林監督が少年時代に見ていた映画ばかり。

   これには、大林監督も大喜び! 懐かしそうに目を細めながらパンフレットをめくっている。放送本番までの打ち合わせ時間は、当時のハリウッド映画話に花が咲いた。

   放送の具体的な打ち合わせはしないことは、山本カントクに事前に伝えてあった。そこで、山本カントクがとった方法とは、ゲストがもっとも喜ぶものを提供しながら、番組内容に関わる話を聞きだすことだった。

   それにしても、大林監督はなぜ「打ち合わせをしたくない」のか?

   よく考えてみれば、監督の映画の作り方にそのヒントが隠されている。撮影が進むにつれて、次々にシナリオが変わるのが、大林作品。役を考えて事前に準備をしていても、現場でガラっと変わってしまうらしく、役者は苦労すると聞く。そんな大林監督が嫌う「打ち合わせ」とは、段取りの説明に多くの時間を割くことを意味していたのだ。監督からすれば、段取り説明の時間は、わずらわしいの一言に尽きるのかもしれない。

   相手の心をどれだけ制作サイドにひきつけられるかの勝負の時間、それこそが本当の打ち合わせ。何も、段取り説明をする時間ではなかったのだ。「打ち合わせが上手く出来れば、放送も上手くいく」。この格言が実行されたのは言うまでもない。

   映画監督同士の打ち合わせを目の当たりにし、これぞ、演出なんだ・・・しみじみそう感じた番組だった。打ち合わせの意味に、いまさら気がついた28歳の秋。私、大丈夫? 少し不安になってきた。

踊るオサムン
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