2024年 4月 26日 (金)

労働者の「敵」か「味方」か ワークシェアリングの素顔

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   雇用を守るために各企業が導入を進めるワークシェアリング――「リストラをせず労働時間を短縮することで仕事を分ち合う」(ナレーション)働き方といえようか。

   激しい派遣切りの最中、経営者サイドから出てきた考え方である。労働者側は、体の良い賃金カットではないかと警戒を強める。ある労組幹部は「正社員の暮らしを守るべき」と、非正規社員切りも致し方ないかのような口ぶりで、「ワークシェアリングは長くはもたない」と話す。非正規社員の方も、今の「緊急避難型」ワークシェアリングは現実的ではないと主張する。正規社員との収入格差がハードルになっているのだ。

給与削減に直面

   ゲストの樋口美雄・慶應大学教授が、その理由を説明する。正社員は雇用、生活保障の対象になってきたが、非正規社員は対象外と思われてきた。前者は生活手当が支払われ、能力によって評価されたが、後者は時間給が一般的だった。給与の決め方が違う中でワークシェアリングを行う際には、給与削減をどうするかの問題に直面する、という。

   そこで、樋口教授の勧める打開策が、同一労働・同一賃金を前提とする「多様就業型」ワークシェアリング。このスタイルはオランダが先進国だ。オランダでは10年前から正社員、非正規社員という立場の違いや、働く時間の長さによって賃金差別することを法律で禁止している。こうしたルールづくりには国が積極的に関与したという。そして、賃金基準は、電機、自動車など産業毎に企業のワクを超えて労使が交渉し、何段階ものランクが決められる。細かな賃金設定が300を超える業種毎につくられているそうだ。

   オランダでは、個人が労働時間を選べるため、女性や高齢者が就業可能になって社会が活性化、ひいては経済成長を促し『ダッチ・ミラクル』(オランダの奇跡)をかなえたと、樋口教授は語る。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中