実験授業「苦手6割」 子どもじゃなく先生の話

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<テレビウォッチ> 子どもたちに『理科離れ』が広がっているとは聞いていた。それが若い教師まで及んでいると番組は伝える。とりわけ「実験」が苦手な先生が多いという。

   東京・大田区の小学校で5年生の担任を受け持つ、教師生活3年目の女性もその口だ。「溶ける」という現象の不思議さ、面白さを生徒に感じてもらおうと、ビーカーの水に塩、砂糖を入れさせる。

理科離れは止まるか

   「あ、すごい」とか「あわ吹いてる」と騒いだ子どもたちが出した実験レポートには、「落ちる様子」などと、見たことをあっさり書いたものが少なくなく、先生は落ち込む。子どもの好奇心をうまく引き出せなかったからだ。それでも、この先生は先輩教師に相談、秘密兵器を用いてリベンジに成功する。安堵感を覚える先生の表情が印象的。しかし、ある調査では、実験が苦手と答えた先生が6割に上るそうだ。

   法政大学の左巻健男教授(理科教育の専門家)は「若い先生の多くが小学校時代、理科につまずき、やがて興味を失ってしまった」と見る。その原因が「ゆとり教育」の影響で理科の授業時間が大きく削られたことだと述べる。教授によれば30年間で半減したらしい。そして、減らし方にも問題があると指摘する。たとえば、月の満ち欠け。以前は、太陽、月、地球の位置関係を学び、太陽の光が月の満ち欠けに関係することまで学ばせた。が、7年前から、しくみは省略、半月、満月という、月の形だけ覚えればよくなったという。「理科は、ひたすら知識だけを覚える教科になった」(ナレーション)。

   教授は「探究心、好奇心が最も旺盛な小学生の時期に、つまらない、やさしい内容だけにとどめてきたのはおかしい。バラバラな知識が、ただそのままで終わってしまう。知的に学んだという面白さが弱い」と述べる。

   スタジオゲストの平林浩(科学教室主宰)も「科学は楽しく学んで行くことが1番の基本」と話す。

   ようやく今2009年から理科の授業時間が小学校で16%、55時間増加し、実験も増えたという。『理科離れ』を食い止めようとする措置であろう。そのほかにも、愛知教育大学の学生たちがボランティアで、近くの小、中学校に出かけて行う「訪問科学実験」、各地の先生たちのグループが独自の授業方法を工夫する取り組みなど、『理科離れ』に抗する姿を、番組は紹介する。だが、これらの試みで果たして歯止めはかかるかどうか。前途は明るくないように思われる。失われた30年が、日本にとって致命的でなければ幸いだ。

アレマ

   *NHKクローズアップ現代(2009年11月12日放送)

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