2018年 7月 20日 (金)

【取材秘話】上半身裸の応援が姿を消したワケ

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取材秘話・フラッシュバック(7)


    アルプススタンドでの応援風景も甲子園大会の風物詩の一つである。どの学校も工夫を凝らし、グラウンドでの選手のプレーとともにファン注目のパフォーマンスだ。現在の特徴は、どの学校も組織だっており、規律正しいこと。そのため応援スタイルは、みんなスマートでだいたい同じのような気がする。

    以前は個性的だった。「あれはまずいのではないか」。高校野球連盟に、ある高校の応援スタイルについて「高校野球では不適切」との指摘があった。それは漁業の町から甲子園にやってきた代表校の応援団で、大漁旗をいくつも持ち込み、大人たちが上半身裸で踊りながら大きな声を張り上げていた。すでにテレビ放映が当たり前になっていたから、全国にそのシーンが映し出された。

    そのファンの声が届き、「裸での応援はやめること」になった。長い間許されていた海の男の荒々しさを見せつける応援は姿を消した。しゃもじをたたいて応援する広島商の“ご当地応援”と同じようなものだったのだが、さすがに裸の応援は支持がなかった。

    そんな頃、注目されていたのがPL学園の応援。人文字で「PL」と描き、斬新なアイデアとして目立った。今では多くの代表校の応援団が採用しており、コンピューターで作成している。これもIT時代の産物といえる。

    甲子園から遠い地域からは夜行バスでやってくる。早朝に大阪や神戸に着く。新幹線や飛行機と違うのは、高速道路は渋滞することがままあること。お盆の列島大移動時期と重なったりすると関係者をやきもきさせることになる。不幸にして大渋滞に巻き込まれ、しかも第1試合ということになれば、遅れての球場入りとなる。気の毒なのは雨天中止のとき。「あーあ」というため息とともに、甲子園グッズを手にしてUターン…。応援も勝負なのである。

菅谷 齊


菅谷 齊(すがや・ひとし)プロフィール
1943年、東京生まれ。法政大学卒。法政二高硬式野球部時代に甲子園で夏春連覇(1960,61年)を経験。共同通信社ではプロ、アマ野球、大リーグを主に担当。84年のロサンゼルス五輪特派員。プロ野球記者クラブ、野球殿堂入り選考の代表幹事を務める。野球技術書など著書多数。現在、日本記者クラブ会員(会報委員会委員)。

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