2024年 4月 20日 (土)

想定外の野田佳彦に週刊誌持ちネタなし―金脈と女問題追及これから本腰

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   最近、朝オフィスへ来るとまず抹茶を喫するのが日課になっている。といってもお茶の作法を知るわけでもなく、家から持ってきた宇治の抹茶を茶杓で多めに2杯、安物の茶碗に投げ入れ、茶筌で掻き回すだけの真似事で、落語の「茶の湯」そのままである。

   なぜこんなことをするのかというと、近頃、週刊誌を読み始めるとすぐ眠くなるのだ。つまらない記事が多いからというわけではないが、読んでいるうちに気が付くと寝てしまっている。老人性痴呆症の前兆か、もはや進行中かもしれないが、眠気防止のドリンク「眠眠打破」を飲むほどではないので、抹茶にしたのだ。効果のほうは程々だが、一瞬だが凜とした気分になるのがいい。

幹事長・輿石で見せた度胸。意外にしたたか「どじょう総理」

   民主党代表選は想定外の野田佳彦の勝利に、各週刊誌はやや戸惑っているのが誌面から伺える。締め切りが代表選に間に合わなかった「週刊現代」が「『新総理』小沢一郎の計略」、「サンデー毎日」が「来年9月小沢首相への号砲」と、小鳩が推す海江田万里優勢と読んでいた。「週刊ポスト」は誰が選ばれるか読めないと考えたのだろう、出馬が予想された候補者に松下政経塾出身者が多いところに目をつけ、「松下政経塾に『総理の器』なし」とバッサリ斬り捨て、彼らに共通するのは「『口の軽さ』と『節操のなさ』だ」と批判している。「週刊朝日」の「徹底研究『松下政経塾の罪と罰』」も同じである。

   たしかに野田新総理は松下政経塾の第1期生で、風采は上がらないし、政治家としての実績もほとんどない。だが、新代表に選出されたあいさつで「ノーサイドにしましょう、もう」といって喝采を受け、党内融和第一と小沢一郎の盟友・輿石東参議院議員会長を幹事長に据える「度胸」は、意外にしたたかな政治家なのかもしれないと思わせるものがある。

致命傷になりそうもない元山口組系暴力団組員からの献金

   それでは、野田新総理誕生に間に合った「週刊新潮」「週刊文春」はどうか。新総理誕生となれば目がいくのが金脈と女問題と相場は決まっている。新潮は「地味なドジョウでも『野田佳彦新総理』に献金した発砲会社」と物騒なタイトルを付け、文春は「野田『どじょう総理』誕生10大タブー!」と謳ってはいるが、これまで出てきたことのおさらいで、新スキャンダル噴出とはいかないようだ。

   新潮は今年の3月に、参院予算委員会で前原、蓮舫、野田の3閣僚が、問題企業にパーティ券を買ってもらったり献金を受けていたことが追及されたことを取り上げる。その後、その企業のグループ会長Sが元山口組系暴力団組員で、脱税事件で摘発されたり、経営する会社の社員寮で拳銃による殺人未遂事件が起きていた。これを再び追及された野田財務相が、懇親会で名刺を交換しただけでその人物の過去は知らなかったが、社会通念上の問題があるから金は返したと答弁したことを問題視しているが、致命傷にはなりえないようだ。

   文春はA総研というシンクタンクのBと野田のつながりを追及。Bが芸能プロダクションの社長だったとき、タレントとテレビ局員たちが乱交パーティに参加して騒動になったが、それを主催したのがBだったとしている。野田はA総研の前身の研究所の顧問になっていて、2008、09年に顧問料を受け取っていたことを明らかにしている。

   地盤も看板も金も潤沢ではなかったであろう野田新総理が、危ない人間たちと付き合い、金の支援をしてもらっていたことはあるのかもしれない。想定外の総理のスキャンダルを、週刊誌が本腰を入れて追及するのはこれからであろう。

   両誌ともに海江田総理誕生を視野に入れて取材していたのは間違いない。扱いは小さくなったが海江田スキャンダルが載っている。新潮は「『海江田』勝利なら『別居妻』と無人マンションが吹き出ていた」、文春は「海江田 不倫のお相手から献金130万円」

   新潮は、海江田が週末しか夫人のところに戻らないために、自民党筋から「さる女優と密会しているのでは」「献金を続けている支援者と男女の仲」「スチュワーデスとの間に隠し子がいる」という怪情報を流されてしまうと危惧しているが、実兄に否定させているから決定的なものではないのだろう。

   文春は9年前に「民主党 海江田万里政調会長と鳩山代表従妹の『禁断の不倫』」で、海江田が不倫相手の住むマンションにクルマで訪れ、朝帰りしていたことをすっぱ抜いた。 今回、彼の資金管理団体「海江田万里を支える会」をチェックしていて、その彼女が08年に100万円を個人献金していたことを突き止める。当時、海江田は落選中だった。そこからは2人とも取材に答えていないから藪の中だが、もし海江田総理が誕生していれば、おもしろいネタになったかもしれない。

島田紳助「大阪府知事選出馬」か「暴排条例違反で逮捕」か

   島田紳助突然引退の波紋はまだ収まりそうにない。文春が先週号で速報し、今週発売の各誌が取材を競っているが、内容が一番充実していたのは朝日だった。この春に編集長が交代して一時元気がなかったが、福島第一原発幹部の手記あたりから弾みがついたようである。今回は大阪府警が作成した捜査報告書を入手して、紳助が渡辺二郎(元ボクシング世界チャンピオン。07年にタレント羽賀研二と医療関係会社の未公開株売買を巡って知人男性から約3億7千万円をだまし取ったとして、恐喝未遂で起訴。現在、上告している)へ送ったメール106通を全文掲載している。朝日によれば、紳助引退までの経緯はこうだと、複数の吉本興業関係者が証言している。

「情報提供があったのは、8月13日だったと聞いています。しかし、それ以上は社内でも厳重な箝口令が敷かれていて詳細はわかりません。ただ、事態を重く見た吉本上層部は、吉本興業社外取締役の原田裕弁護士を含む複数の幹部で構成される調査チームを立ち上げ、約1週間にわたって『羽賀渡辺裁判の関係者』と直接、接触するなど徹底した調査をしたそうです。その結果、協力者の情報が大阪府警の捜査報告書に基づいていることがわかり、そこに記されている内容の信憑性も高いと判断した。結局、21日に紳助さん本人の聴取に踏み切ったのです」

   紳助のメールがズラッと載っているが、興味深いのは紳助のメールにたびたび「自分は気が小さい」という言葉が出てくることだ。

「昨日は精神安定剤のんでねました 弱いです私は すいません いつもたよってばかりで!」「自分の気の小ささに やになります」「気のよわい私は相変わらず下痢ですが」

   55歳で引退することを予感していたようなメールもある。

「いよいよ今週で50歳になります、そんな歳になるなんて夢にも思わなかった、一番したかった事してきます、好きな南の島巡り、リックサック持って、宮古島、多良間島、石垣島と渡り私の店のテラスで夕陽見ながらカウントダウン待ちます いっぱい涙して、あと五年好きに生きます」

   文春は警視庁、大阪府警が紳助の逮捕を視野に入れていると書いている。これは福岡県や大阪府で先行施行されている「暴力団排除条例」に抵触するからである。大阪府警の捜査4課関係者はこういっている。

「強制捜査で橋本会長(紳助が私淑している山口組のナンバー4=筆者注)の資金源を洗ったところ、紳助から会長への金の流れが確認されたのです。この時、『もうすでに紳助は極心連合のフロント、いわゆる企業舎弟にまでなって、暴力団の世界にどっぷり浸かっているのではないか』という疑いが生じました」

   本物のヤクザよりもヤクザらしいお笑い芸人の今後は、都知事を狙う、いや、大阪府知事かもしれないという噂が飛び交っている。世の中がそんな甘いところであることは、淫行で事情聴取され、暴行で書類送検されたお笑いタレントが宮崎県知事になれたことでも証明されている。どちらにしてもこの騒動の余震は長く続きそうである。

地味なテレ東で女子アナ醜聞2連発

   最後に「フライデー」の「テレビ東京 紺野あさ美『イケメン実業家とお泊まり愛』」についてひと言。紺野は元「モーニング娘。」出身で、高卒認定試験を受けて慶応大学へ入った、テレ東期待の大型ルーキーなんだそうな。その前の週でも、フライデーはテレ東の人気アナ・相内優香(25)に『二股交際疑惑』が浮上したと報じた。

   私の間違いかもしれないが、失礼だが少し前までのテレ東は、制作費の安いB級グルメか賞味期限の過ぎたタレントを使った旅や田舎に泊まろう番組ばかりで、女子アナが話題になることはあまりなかったように思う。「ワールドビジネスサテライト」の小谷真生子にやや疲れが見える中で、次の世代を担う若手が出てきたテレ東に注目してみたい。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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