2024年 4月 26日 (金)

野田首相TPP参加表明で御用済み。ハワイで写真もなかった土下座外交

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?
「私はTPP参加に賛成である。非関税障壁については、アメリカの言い分をそのままのむのではなく、存分に交渉し、受け入れがたい条件は拒めばよい。(中略)むしろ日本は積極的に打って出て、中国や韓国、インドやタイなども参加する大きな構想の実現こそ目指すべきなのだ」

   この発言は、「週刊朝日」連載「田原総一朗のギロン堂」からの抜粋である。私もTPPの内容が詳細に開示されてからなら、こうした構想はありだとは思う。しかし、やはり思っていたとおり、野田どじょう総理はどうにもならない卑屈な態度で、アメリカのいうがままの土下座外交しかできないことが、のっけから露呈してしまった。

   オバマ・アメリカはしたたかだった。日米首脳会談のあと「日本側は例外なき自由化交渉に臨む」と野田が発言したと世界へ向けて発表してしまったのである。野田は、あわててそんなことは言っていないと打ち消したが、アメリカ側は「『何が問題』米いらつく」(11月17日の朝日新聞より)といらだちを募らせているというのだ。

   いわんこっちゃない。「週刊文春」によれば、ハワイ唯一の地元紙にAPEC参加各国首脳の名前が列挙されているが、野田どじょうの名前がないし、首脳が泊まるホテルには顔写真がついているのだが、野田のところは「JAPAN」としか書かれていない。風采の上がらない中小企業のおっさんみたいな野田の役割は、アメリカのいうなりにTPPへ参加するといってくれればよかったのである。どうせ数か月すればまた別の総理になるのだから。

   不思議なのは、ほとんどの週刊誌が、これだけ大問題のはずのTPP参加の是非をとりあげていないことだ。野田を揶揄するためにTPP問題を絡めてはいるが、その他では週刊朝日が「外国のコメや牛肉は日本人に合うのか 老舗すし店、定食屋で徹底食べ比べ」とやや斜めから取り上げたのがあるだけで、真正面から取り上げているのがないのはどうしたことか。

   「サンデー毎日」が鳥越俊太郎を起用して小沢一郎インタビュー「小沢一郎 すべてを語る」をやっている。もちろん何も語っているわけではないが、なかで小沢は「今、米国が主張しているTPPをそのまますぐ受け入れることとは別問題。日本の国民生活をちゃんと守るシステムをつくったうえで、吟味してやらなければならない。(現時点で交渉に参加すれば、米国の)意のままにやられてしまいます」と語り、農業よりも問題は医療制度で、日本の皆保険制度を自由診療などで崩そうという意図があるといっている。ここでも不思議なのは、ならば「TPPへの参加はちょっと待て」と党内でなぜ大声で小沢はいわないのか。落ちたりとはいえ小沢が言えば呼応する議員の20や30はいるはずである。

ナベツネ時代の終焉―ドン気取りに噴き出す「老害」批判

   さて、先週からTPP問題よりも多く取り上げられたのは、巨人軍球団代表清武英利の渡邉恒雄読売新聞主筆批判である。今やメディア界だけではなく、政界にも大きな発言力を持つ日本のドン・渡邉恒雄主筆に対して内部から批判の刃を向けたのだから、多くのワイドショーでも取り上げ大騒動になった。文科省で記者会見を開いた清武のいい分は、巨人の来期のヘッドコーチには岡崎郁が内定し、渡邉主筆にも了解をもらっていたにもかかわらず、その後、渡邉が独断で岡崎に代えて江川卓を招く交渉を進めていたのは、不当な鶴の一声で、愛する巨人軍を私物化する行為で許すことはできないというものだ。野球界だけでなく、新聞界でも「老害」と批判されている渡邉主筆に対して、身内から「おかしい」という声が出てきたのは、どんなに取り繕おうと渡邉時代が終焉に向かっている象徴的な出来事である。

   清武球団代表は彼が社会部時代から知っている。ひとことでいえば真っ直ぐな人である。巨人を愛すること人後に落ちない。彼が巨人に入ってやった最大の功績は、育成制度をつくったことである。それまでは、他のチームの主力選手を札束攻勢で引き抜いて主軸に据えていた。それでは自分のところの若い選手が腐ってしまったり、一軍に上がる機会が失われると、若い選手を育てることに力を注ぎ成果を出してきた。

   そんな清武に週刊誌は好意的かと思っていたのだが、「週刊新潮」、文春を読んでみると意外にそうでもないのだ。新潮は「『ナベツネ主筆』『清武代表』サシの対峙の一部始終」で、清武が会見を開く48時間前に読売本社の13階で渡邉・清武会談が行われ、渡邉から岡崎をヘッドコーチにしたまま江川卓を助監督にしたらどうかという提案があり、1、2年後に清武を球団社長にする懐柔策まで話していたと書いている。また、会見の前日、密かに原辰徳監督が宮崎から東京へ戻っていたことを察知し、妻と一緒に外出しているところを撮っている。読売関係者の談話では、実現したかどうかわからないが、その日に江川と会って年俸や契約年数を詰めることになっていたというのだ。ここから話は原も含めた巨人軍全体の紛争へとエスカレートしていくのだ。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中