2024年 4月 26日 (金)

どっちに納得?日本経済バラ色の「週刊現代」か、値上げ地獄で庶民半殺しの「週刊ポスト」か

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東京五輪決定で「株価倍返し」3万円突破なんて浮かれすぎ

   『週刊現代』の編集方針が私にはよく理解できない。アベノミクスを礼賛し、株が上がる上がると囃し立てたのに、暴落するとアベノミクスは終わった、もう株にはを出すなと特集した。だが、2020年の東京五輪が決定すると、今週は「日本経済『黄金の7年』が始まる」という特集を組んでいる。週刊誌に『節操』は求めないが、いくら何でもという気にはなる。

<一部のマーケット関係者の間では、人気ドラマ『半沢直樹』の名セリフをもじって『倍返し相場』が来ると語られる。五輪決定で沸き上がるマーケットが、昨年来のアベノミクス相場でつけた年初来高値1万5942円の『倍』、つまり3万円オーバーに向かって急上昇していくシナリオだ。
   武者リサーチの武者陵司代表がこう指摘する。
「日本の資産時価総額(土地+株式)は、1989年から2011年の間に1600兆円も失われました。22年間に亘って資産価値が下落を続ける現象は世界に例がなく、この過度な土地と株の価格下落を引き起こしたのは、過度の悲観論、諦観論=アニマルスピリットの喪失でした。
   東京五輪はこうした悲観、諦観を一掃し、正当な株価と地価の実現をもたらすでしょう。その経済効果は計り知れません。2020年の日本経済が1990年の高度成長のピークを越えていくとすれば、日経平均は過去最高の4万円が視野に入ってくるでしょう」>

   さらに、この7年の間には、アベノミクスでもいまだに達成できていない賃金の上昇がやってくるというのである。SMBC日興証券の渡辺浩志エコノミストがこう解説している。

<「五輪開催で、15万人の雇用創出が見込まれています。現在は約300万人の失業者がいて、失業率は3.8パーセント。15万人の雇用が創出されると、失業率は約0.25%改善される計算です。
   これは数値としては大きくはありませんが、失業率の下限が3.5パーセントと言われている点にポイントがあります。失業率が下限に近づくと、労働マーケットは人手不足の状態になり、おのずと賃金が上がっていく。来年、賃金は1%程度伸びると考えていいと思います」>

   それでもちょっぴり不安材料も書いてはいる。<夢の祭典が終わってしまえば、熱気も冷め、需要も落ち込み、「五輪ショック」が起きるのではと危惧する向きもあるだろう。実はその危険性は否定できない>

   だが、そんなことは付け足しに過ぎない。証券アナリストの植木靖男氏にこうまでいわせているのだ。<「2020年から日本ではバブルが始まる。そうなれば、日経平均株価が10万円を目指す上昇基調が、おそらく2024年ごろまで続くでしょう」>

   なんと今度は10万円だそうである。週刊現代は日本経済はこれからとてつもない変動迎え、その幕開けの瞬間にわれわれは立ち会っているのであると結んでいるが、とても素面では読めない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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