2018年 7月 21日 (土)

<少女は自転車にのって>
イスラムの厳しい戒律突き抜ける少女の爽やかさ…サウジアラビア初の女性監督映画

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(C)2012, Razor Film Produktion GmbH, High Look Group, Rotana Studios All Rights Reserved.
(C)2012, Razor Film Produktion GmbH, High Look Group, Rotana Studios All Rights Reserved.

   厳しい戒律が多いイスラムの国サウジアラビアで、それでも前向きに生きる10歳の少女・ワジダの日常をストレートに映し出していく。監督のハイファ・アル・マンスールはサウジアラビアで初めての女性監督だ。ベネチア国際映画祭をはじめ多くの映画祭で高い評価を受けた

顔まで隠す民族衣装の下にアメリカや日本の流行ファッション

   「サウジアラビアで女性が長編映画を撮った」という惹句には二重の驚きがある。サウジアラビアでは法律で映画を見ることが禁じられているので、映画館などない。女性には選挙権はおろか、ひとりで外出することすら禁止されている国なのだ(撮影は監督が車の中から電波を使って演出していたという)。

   アバヤという顔まで隠す民族衣装を着た少女・ワジダの可愛らしさはそうしたしばりとは無縁であった。ワジダが履いているコンバースのスニーカー、ヘッドフォン、コーランを勉強するためのプレイステーションのソフトなどから欧米文化を受け入れようとするが、戒律に捉われるサウジという国が持つ混沌が静かに押し寄せてくる。

   部族社会が正当化され、結婚するまで女性から男性に話しかけるのを法律で禁じられるという女性軽視社会が依然続いているが、サウジの若い女性が民族衣装の下に着ている服は、アメリカや日本の若い女性が着ている服と同じだ。デパートでオシャレな服を買い、お気に入りの服を着て、その上に民族衣装を着ている。こ戒律を道徳的に守りながらも、真実を物語の下に着込むというのがこの映画の狙いでもあるのだろう。

   映画が現実であり、現実が虚構であると静かに訴えたこの映画は、サウジアラビアと各国の橋渡しに成り得る作品であろう。この97分間の意義は高く尊い。

おススメ度☆☆☆☆

川端龍介

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