2024年 4月 25日 (木)

<の・ようなもののようなもの>
森田芳光映画オマージュ!仲村トオル、鈴木京香、笹野高史・・・常連勢揃いしてワンシーン出演のくすぐり

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   35年前、森田芳光がメジャーデビューを果たした作品「の・ようなもの」の続編である。当時のことを森田は「この映画が封切られたら、ウチの事務所に仕事の依頼の電話が殺到するだろうと待っていたが、1本もかかってこなかった」と語っていた。たしかに、「のようなもの」が画期的な映画であったことは間違いない。いままでの日本映画にはなかった新鮮さにビックリしたものだ。単館ロードショーで、入場料金800円に「ご縁がありますように」と5円のストラップ付きのおつりがあった。

(C)2016「の・ようなもの のようなもの」製作委員会
(C)2016「の・ようなもの のようなもの」製作委員会

   その後、森田は「家族ゲーム」「それから」といった傑作を連発したが、2011年に61歳で急逝した。この映画は森田組で長年、助監督をしていた杉山泰一の初監督作品である。オープニングもオリジナルとまったく同じ。公園のベンチで仲睦まじく話している横に、主人公が無遠慮に座って話しかける。空気感が森田芳光のテイストだ。

名作「の・ようなもの」の35年後

   東京の下町、昭和の佇まいを残す谷中に落語家の出船亭一門の師匠・志ん米(尾藤イサオ)の家があった。居候している弟子の志ん田(松山ケンイチ)は師匠の娘・夕美(北川景子)に密かに想いを寄せていた。その夕美に志ん田の落語は「小学生が国語の教科書を読んでいるみたい」と酷評されていた。

   後援会会長(三田佳子)の庭で行われた宴会で志ん魚(伊藤克信)はゲロを池に吐いて、会長お気に入りの出目金を死なせてしまった。しかし、後援会長は志ん魚を高座にあげろという。それが援助を続ける条件だと会長は無理難題を吹っ掛ける。しかたなく、一門は大師匠の13回忌に志ん魚に新作落語「出目金」を会長の前で披露させることに決めた。

   志ん魚は大師匠の死とともに行方をくらませていた。志ん田は志ん魚の居場所を探し出して説得するよう一門から命じられ、苦労の末にやっと志ん魚を見つけると、ボロアパートに住んで便利屋をやっていた。志ん田は便利屋の手伝いをしながら志ん魚に新作落語をやるように説得する。

   仲村トオル、鈴木京香、宮川一朗太、笹野高史、塚地武雄、あがた森魚など、「森田映画」の常連がワンシーン出演している。せんべい屋の女主人の鈴木京香に二ツ目の志ん田が道を聞くと、「その路地を曲がって二つ目の交差点を渡って、二つ目の道を右に・・・あら二つ目ばっかりね」などという小ネタ満載だ。

   志ん魚は「出目金」なんて新作落語は作っていないと志ん田に言うが、ズボンのポケットには「出目金」のメモが入っていた。果たして志ん魚は13回忌で「出目金」を無事披露することができるのだろうか。映画全体が落語のようだでトボけた味わいだ。

   主題歌は前作と同じ尾藤イサオが歌う「シーユーアゲイン~雰囲気」が使われている。ラストシーンにこの曲がかかる。面白うてやがて哀しき作品である。

   オススメ度☆☆☆

               

佐竹大心

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