2024年 4月 26日 (金)

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「天皇陛下の生前退位」率直にご自分の気持ちを国民に語ってほしい

   いま最大の話題といえば、NHKがスクープした「天皇の生前退位」問題であろう。新聞を始め週刊誌まで挙って、もし「生前退位」するならばどれだけのハードルがあるのかを細述している。

   だが、私は、このニュースが正真正銘のスクープなのか、そうだとすればなぜ今なのかという疑問がある。新聞の中には「天皇陛下早期退位望まれず」と報じているところもある。それについて比較的詳しく報じてくれているのが週刊ポストである。

   まずスクープの真偽については、<「情報源は宮内庁の最高幹部クラスかそれに近い筋だろう。相当の自信がなければこんな報じ方はできないし、実際、宮内庁の対応を見ていても『本気の否定』ではないことがよくわかる」(大手紙関係者)>

   こうしたことからもそれが伺える。宮内庁は常日頃から皇室関連報道を細かくチェックしていて、事実と異なる場合には当該メディアに厳重抗議した上で、即座にそれを同庁のホームページで公開するが、今回、宮内庁はNHKに抗議をしていないのだ。

   元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下普司氏は、今回の報道の背景にはさまざまな思惑がある可能性ありと前置きしてこう話している。<「天皇陛下が生前退位なさるには皇室典範や関連法の改正が必要です。しかし、憲法4条で『天皇は国政に関する権能を有しない』と定められているので、法改正が必要な案件について、宮内庁が『陛下のご意向が示された』ということを公式に認めると、憲法違反の恐れがあります。

   そうした状況の中で、宮内庁サイドが『公式には発表できないが、何とかして陛下のお気持ちを伝えたい』と考え、NHKに報道させるかたちになった可能性はある。否定したのに抗議しない対応も『宮内庁側とNHKとの間で事前に話ができていたのでは』と勘ぐられても仕方ない経緯でしょう」>

   週刊ポストによると、この数か月間、宮内庁では「生前退位」をめぐって最高幹部が会合を重ねていたという。<「5月頃から風岡長官と山本次長という庁内のトップ2に、皇族の身辺のお世話などを担当する侍従職の最高幹部である河相周夫・侍従長と高橋美佐男・侍従次長、それに皇室制度に詳しいOB 1人を加えた5人が、定期的に集まって検討を重ねていたといわれています」(宮内庁関係者)>

   いずれにせよ、NHKの報道は宮内庁内部で進められた慎重な議論が下敷きにありそうで、それは他メディアの報道からもわかるという。

   14日(2016年7月)の各紙の朝刊1面を見比べると、他紙はやや曖昧な表現になっているが、朝日新聞だけが見出しで「皇后さまと皇太子さまに伝える」と断定している。<「朝日新聞だけは、NHKのネタ元に近い、中枢近辺の相当確かな筋から裏が取れているということだろう。そうでなければ、あの書き方はできない」(皇室問題に詳しい大手紙OB)>

   その裏付けとはこうだという。数年前から天皇、皇太子、秋篠宮は月1回のペースで皇居に集まって「三者会談」を行っており、皇室の未来などについて話し合いを重ねていたことが知られているそうだ。

<「会談には基本的に宮内庁長官が同席しますし、皇太子さま、秋篠宮さまも信頼する官庁幹部には、そこで話題に出たことをお話しになるでしょう。メンバーは相当限られてくるが、この会談の内容を把握している筋が情報源となっているのではないか」(別の宮内庁関係者)>

   それに7月13日は官邸の事務方トップの杉田和博・官房副長官が翁長雄志知事との会談のために沖縄入りしていたタイミングだった。ということは官邸はこの報道が出ることを把握していなかったのではないかと週刊ポストはいうが、NHKの籾井会長と安倍首相の関係から見ればそれはあり得ないと思うが。

   だが、天皇の生前退位という考えは、安倍官邸に大きな衝撃を与えたに違いない。皇室ジャーナリストの神田秀一氏はこういう。<「82歳になった天皇陛下は03年に前立腺がんの手術を受け、12年には狭心症と診断されて冠動脈のバイパス手術を受けています。そうしたなかで、悠仁親王の世代には他に男性皇族が1人もいないという状況があり、皇室の未来を考える上では女性宮家創設といった課題が議論されて然るべきですが、棚上げされてきました。

   結果として、今回のNHKの報道後、菅官房長官が会見で女性宮家の創設の検討に言及するなど、棚上げされてきた皇室の未来に関わる議論が動き出そうとしています」>

   そうした流れを作り出そうとする思いが天皇を取り巻く人たちにあって、今回の報道となったのだろうか。女性宮家創設には安倍首相は否定的であるが、今回のことを受けて、ならば皇室典範だけではなく憲法の「象徴天皇制」に手を付けることで本丸の九条改正にもっていけるのではないかと考えはしないだろうか。

   小林よしのり氏(漫画家)と所功氏(法学者)が対談でこう語っている。

<所 率直に申せば、陛下は悲鳴をあげておられる、それが聞こえてきたのだと感じました。いつまでも今まで通りにできるはずと、多くの国民から期待されるなかで、それが叶わなくなれば象徴天皇の機能不全に陥ってしまう、現行の皇室典範に則ってやろうとしても、できない状態を迎えておられる。そうした陛下の実情とご意向を知りうる立場にあった近くの方が、信頼できるNHKを通じて漏らしたということでしょうか。
小林 陛下自身の発言となると、政治的発言で憲法違反と批判される可能性が高いですからね。
所 ああいう形しかなかったのでしょうね。ここまで陛下を追い詰めていたのかと、国民ひとりひとりが気づかされたはずです。
小林 今回のことで、陛下は本当に疲れておられる、陛下のお望みのことをしてあげるべきだと、ここはようやく国民の合意が取れたと思うんですよ。
陛下が譲位すれば当然、皇太子殿下が天皇になられる。すると、現行の皇室典範では天皇の直系男子しか皇太子になれないため皇太子が不在になるという問題や、結婚適齢期を迎えられる眞子さま佳子さまのために女性宮家をつくらなくていいのか、天皇の直系にあたる愛子さまはどんなお立場になるのか、といったさまざまな問題を同時に考えるしかなくなる。
これまで皇室典範改正問題は何度説明しても理解してもらえなかったのが、陛下の生前退位によって一気に国民的関心事になった>

   ここはぜひ天皇が会見を開いて、率直にご自分の気持ちを国民に語ることである。その上で、天皇の公務を大幅に減らす、生前退位するにはどのような法改正が必要かなどを、日本人全体で考えることである。天皇は国民の総意の象徴なのだから。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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