高騰ウナギかば焼き「稚魚シラス」密輸横行!香港経由で台湾もの日本へ・・・1キロ200万円

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   ウナギの値上がりが止まらない。文字通り「うなぎのぼり」の原因は、シラスウナギ(稚魚)の激減だ。それでも「欲しい」となれば、「不透明流通」が幅を利かせますます高値となる。「白いダイヤ」と言われるまでになった。「クローズアップ現代+」が密輸ルートをたどった。

   ウナギの99%は養殖だ。シラスの8割は香港から来ている。11~12月は仕入れの季節だが、値段が5年間で3倍以上になったと三重・松阪市の養鰻業者は泣く。いまや1キロ200万円だ。香港で何が起こっているのか。

台湾の密輸業者「日本人が電話で値段を交渉してくる」

   香港の漁港にシラスウナギは1匹もいなかった。付近の海では獲れないのだ。ところが、郊外にうなぎの輸出施設があった。大型の水槽にはシラスがいっぱいいる。「どこから来るんですか」と聞いても、「いろんなルートがあるが、具体的にはわからない」と話す。彼らも「出所を聞いても、量しか教えてくれない。あえて知る必要もない。注文受けたら要求通りにやるだけだ」という。

   手がかりは日本の貿易統計にあった。日本の香港からのシラスの輸入は、2008年から9年連続で2000キロ以上だが、07年以前はほとんどゼロだった。それまでは台湾からの輸入だったが、台湾は07年に自然保護のためシラスの輸出を禁じた。それをきっかけに香港からの輸入が急増した。

   台湾では11月にシラス漁が解禁され港は賑わっていた。シラスが300~400匹入ったビニールの袋が約10万円だ。10年で7倍になった。輸出禁止でシラスは台湾国内で育ててから流通するはずなのだが、ウナギの養殖・流通業者の団体は大部分が行方不明だという。12年のシラスの漁獲は3.2トンだが、台湾で養殖しているのは0.8トン。あとは海外へ密輸出といういわけだ。

   密輸をやっている人物が取材に応じた。「求めるのは日本人。日本人が電話で値段を交渉してくる。ほとんど全部が香港を経由して日本へ輸出されてる」と話す。

   ルートの一つが金門島だ。中国本土からわずか2キロ。かつては中台対決の最前線だったが、今や大陸から年間30万人が訪れる。シラスは観光客の手荷物に入れられて、客船でアモイへ渡る。手荷物の検査はない。取材班も試みたが、ノーチェックだった。業者は1回に20キロ、数千万円相当を持ち込む。アモイからは陸路で香港だ。

   その氷山の一角が明るみに出た。台湾北部の空港で32万匹のシラス、6000万円相当が摘発されたのだ。香港行きの預け入れ荷物から見つかった。一般客に混じってシラスが密輸されていた。

放置すれば3年後にはニホンウナギの取り引き全面禁止

   取材したNHKの黒瀬総一郎記者は「台湾から持ち出すまでは密輸ですが、香港からは合法的に日本へ輸出されているわけです」と話す。

   鎌倉千秋キャスター「ウナギロンダリングですね。よくスーパーで『国産』と言ってますけどね」

   さかなクン(東京海洋大学客員准教授)が解説した。「稚魚は外国からでも、日本で飼育すれば国産です」

   10月(2016年)のワシントン条約会議は、これを「不法取引だ」として実態調査をすることが決まった。

   鎌倉「もし改善されなければ、3年後にはニホンウナギの取り引きが全面禁止になるかもしれません」

   日本が特別なのは土用の丑の日。7月にとんでもない消費のピークがある。マリアナ海溝から回遊するシラスは、11、12月に台湾沖、日本沖へは1、2月に来る。ウナギはシラスを仕入れて半年で育てるが、台湾ものはちょうど丑の日に間に合うのだ。

   この偏った消費サイクルを見直す動きが出ている。前出の松阪の養殖業者は養殖開始を2、3月にずらした。出荷は丑の日を過ぎてしまうので、売り値は安くなるが、シラスの仕入れ値が安くなり、ゆっくり養殖すると採算は取れるという。うなぎ店でも丑の日を特別扱いしないところが出てきた。「1匹、1匹を大切にし、伝統を後世に伝えるのが絶滅危惧種を売る責任でしょうか」と店長は言う。食文化を守るには、消費の仕方を変える必要があると語った。

   さかなクンは「シラスは何千キロも旅をして、5年も10年もかかって育つ魚なんです。ありがたく、感謝して食べたいですね」という。そう、スーパーでパックで売ってたりするものじゃないんだろうね、本来は。

ヤンヤン

*NHKクローズアップ現代+(2016年12月1日放送「『白いダイヤ』ウナギ密輸ルートを追え!」)

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