事件を書いて人間描けず...説明に追われ汲々とする刑事たち
〈警視庁南平班~七人の刑事⑩〉(TBS)

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   シリーズが長くなるとネタ切れになる典型的な話。推理小説でよく描かれる鉄壁アリバイの交換殺人がここでも使われているが、交換殺人自体は近頃トリックとして珍しくもないので、今回は3人によるトリプル交換殺人だって。まず殺されるのはIT会社社長で、仲の悪い妻にはパーティー映像という完璧なアリバイがある。

   今回のキモは主人公の警部・南部平蔵(村上弘明)と部下の高村(鈴木一真)までが殺されそうになる事件だ。実は南部が以前逮捕した少年が冤罪だったと思っている父親(田中健)が、出所後、ムショ帰りとして職場を追われた挙句、悲観した息子が自殺したのは南部の冤罪逮捕が原因だったと固く信じている。その結果、まともなガラス職人だった父親が殺人という犯罪に走ってしまったという悲劇を描いているのだが、どうもなあ。策士策に溺れるの典型で、アリバイの詳細な説明や、トリプル交換殺人の絡み具合などの説明に汲々と追われて、肝心の人間心理の納得のいくプロセスも説明もない。つまり、事件を書いて人間が描けていないのである。

   番宣の「鬼の平蔵」は「鬼平犯科帳」のパクリであろうが、それにしては甘いもの好き、虫嫌いの南部を演じる舌っ足らずの村上弘明は、どこが「鬼の」なのか甘ったるくて、さっぱり鬼らしくない。

   (放送2017年5月15日20時~)

(黄蘭)

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