2018年 5月 21日 (月)

近ごろ「フライデー」にスクープがない2つの理由―AKB48後遺症と現場に行かないカメラマン

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   このところフライデーに目を見張るスキャンダルが載らないのはなぜだろう。今週のウリは「高部あいがエリート弁護士の恋人と送る同棲生活」だが、コカイン所持で逮捕(その後に起訴猶予)されたタレントの高部が大物らしい弁護士と同棲し、結婚するであろうという内容だ。私が高部という女性を全く知らないということもあるが、これで部数が伸びるとはとても思えない。

   時々大スクープは出すが、週刊文春、週刊新潮のように次々にとはいかないのはなぜだろう。理由は2つあると思う。1つは写真誌の原点を忘れていることである。写真誌は1枚の決定的シーンと短い文章で構成される。写真が主で文字が従。張り込みだけではなく、事件や世界的な紛争現場の生々しい写真を「フライデーのカメラマン」が現場に行って撮ってくるのが原則だ。以前にも書いたように、東京から遠い事件や紛争は通信社の写真を借りることが多くなってきているようだ。

   もう1つはAKB48後遺症である。週刊文春が数々スクープした彼女たちのご乱行は、ふた昔前ならフライデーの独壇場だった。だが、同じ講談社の子会社であるキング・レコードがAKBのCDを発売するということもあるのだろう、AKBをタブー視し、そのうえ、フライデー編集部でもAKBの写真集を出して少ない稼ぎの足しにするというのでは、ジャニーズ事務所など他のプロダクションへの睨みもきくはずはない。

   世を騒がせるスクープのないフライデーは歌を忘れたカナリヤである。昔は芸能人たちが出入りするコンビニやスーパーの多い地域のマンションを、高い家賃を払って借りていた編集者がいた。六本木のキャバクラには芸能人と遊んでいる女性が多いと、毎晩、キャバクラへ通い、私に嫌味をいわれた編集者が何人もいた。カネも使うがスクープも取ってきた。

   今はカネも使えず、人数も往時と比べれば激減している。24時間、スクープを狙って街をほっつき歩く猟犬のような編集者も記者、カメラマンもいないのであろう。雑誌は常に選択と集中である。少ないカネと人材をどこに投入するか。編集長のリーダーシップと采配する力量がより求められていると思う。

小池百合子も失望した若狭勝の「オレがオレが・・・」誰も期待してない国政政党立ち上げ

   安倍首相は長い夏休みをとっているが、例年と違ってゴルフ三昧ではないようだ。9月末から始まる国会対策、晩秋にもやるかもしれない「破れかぶれ解散」など、煩悩が多いので、ゴルフどころではないのだろう。

   その一つが、小池都知事と若狭勝衆院議員が進めようとしている日本ファーストの会(仮称)の動きである。若狭は民進党を離党する意向の細野豪志衆院議員らと次々に会って、動向が注目されているが、小池との齟齬も目立つようになってきたという。週刊文春によれば、若狭が立ち上げた「輝照塾」と小池の「希望の塾」との棲み分けも決まらず、小池が不満を漏らしているそうだ。<「今の段階で『(新党を=筆者注)年内に立ち上げる』と公言する政治センスのなさに、小池さんは失望している。『若狭さんは喋りすぎなのよ』と呆れています」(小池周辺)>

   小池に政治センス云々をいわれるようでは、若狭もたいしたタマではないようだが、彼がアサヒ芸能のインタビューに長時間答えている。もともと政策も何も決まってはいないのだから、たいしたことは話していないが、いくつか紹介しよう。女性の議員を増やさなければいけない、少なくとも半分ぐらいにはといっている。そんなに増やしたら、不倫などの色恋沙汰で大変になりそうだが。

   自分は国政を目指すので、地域政党の都民ファーストとは違うと、なにやら、自分が上といわんばかりである。したがって、地域政党の大阪維新の会から国政政党、日本維新の会を立ち上げた橋下徹のやり方と自分は違うともいっているから、都政は小池にやってもらって、国政はオレに任せろということだろう。そのほか、無駄が多い国会の象徴、衆議院と参議院を統合して一院制にしたほうがいいともいっている。

   一読して、この男にリーダーシップはないが、リーダーでなければイヤだと駄々をこねるタイプと見た。小池も同じようなタイプだし、民進党を議席欲しさに離れた細野や長島昭久もオレがオレがのタイプ。すんなり一緒になるとは思えないが、そうなると安倍首相がほっとするだけだし、何とかまとまるいい案はないのだろうか。

安倍政権が描く「年金あてにするな。高齢者も死ぬまで働け」

   週刊ポストは安倍政権がいま奸計をめぐらしているのは「みんな75歳まで働け」ということだと喝破している。要は、年金・医療・介護を合わせた社会保障制度を高齢者搾取の道具にしようというのである。週刊ポストの小見出しを見ただけで、その手口がよくわかる。

   「高齢者は働いて社会保障の"支え手"になれ」「楽隠居は認めない。死ぬまで働け」「健康なうちは年金を支給しない」「自己責任で老後資金を捻出せよ」「90歳になるまで医療費は3割負担」「高齢者は介護施設から出てってくれ」「でも、子供や孫世代からも搾取します」

   週刊ポストはこう結ぶ。<安倍首相が「成長戦略」を話し合う未来投資会議で介護や医療の論議をしていること自体、社会保障を高齢者のためでも子孫のためでもなく、金儲けの種としか考えていない証拠なのだ>

   何も付け加える事はない。

   週刊文春は「絶対後悔しない看取り」にかなりのページを割いている。目新しいことはないが、終活にあたって、忘れがちなのがパソコンやスマホに残されている「デジタルデータ」の処理というのは、たしかにそのとおりである。

   今更、履歴に残っているワイセツ動画を消そうとは思わないが、人間を長くやっていると、かなりの有料アプリを入れている。アマゾンのプライム会員、Netflix、Evernote、dマガジン、JRA-VAN、朝日新聞デジタル版など、毎月払っているものが多くある。これを整理しておかないと、銀行口座を閉鎖するまで取られ続けるだろうから、早いこと整理しておかなくては。

「メルカリ」で万引き本を大量売買!「盗品の現金化」野放しで犯罪助長

   このところ週刊新潮が追及しているのは、12月に東証への上場が予定され、その際には時価総額が1000億円を超えるともいわれているネット通販会社「メルカリ」というIT企業だ。今週は、大量の万引き本がメルカリに上げられていて、それをチェックしないのはおかしいと追及してる。

   発端は、徳島県内の郊外型書店「平惣」でごっそり万引きをした40歳の女性がメルカリに出品していることをスタッフが突き止め、彼女を徳島県警が逮捕したことだ。ほかの県でも同様のことが起きている。その理由は、ヤフオクなどは顔写真付きの本人確認を求めるが、売買が主流のメルカリはそうしたことをやらないからだ。

   また、メルカリはオークションサイトではなく、単に売買の場を提供しているという立場から、「競売業」を規制する古物営業法の適用外にあるため、警視庁から本人確認を強化してほしいと要請されたが、それを蹴ってしまったという。もちろんそればかりではないだろうが、盗人が盗品の現金化をするのに都合のいいサイトがもてはやされるというのは、私には解せない。

   「平惣」の後東祐次営業統括部長がこういうのももっともである。<「新刊本を扱う本屋にとって1冊の粗利は約23%です。これが100万円の損害となれば、どれだけのダメージなのか分かりますか。100万円分の本を万引きされると500万円分の本を売らないと穴埋めができません。これは普通の本屋が1ヵ月かかって売り上げる額なのです。老夫婦がやっているような小さい書店ならとっくに潰れています」>

   昔、「ブックオフ」ができると、その近くの本屋で万引きが増えるという噂がでたことがあった。転売目的に万引きをするには、その売り先がなくては読まない本など持て余すだけである。メルカリもこうした犯罪を助長しているという「リスク」をどう解決していくのか、今すぐ、考えるべきである。

ノンフィクションライター「食い詰め時代」仕事ない、媒体ない、蓄えない・・・

   私は山田太一という脚本家は天才だと思っている。『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』、なかでも鶴田浩二主演の『男たちの旅路』は素晴らしいドラマだった。その山田も83歳になり、今年1月(2017年)、自宅を出たところで倒れ、意識不明のまま救急車で搬送されたという。

   脳出血で、倒れてから3日間の記憶が全くない。退院したのは6月で、言語機能は回復しつつあるが、脚本を執筆する状態ではないようだ。テレビも見る気力がわかず、ひとりで散歩に出ることもかなわないという。次の作品を書いて、それから仕事を辞め、遊ぼうと思っていたが、<「人生、なかなか思い通りにならないですね」(山田)>

   山田はこう語っている。<「人生は自分の意思でどうにかなることは少ないと、つくづく思います。生も、老いも。そもそも人は、生まれたときからひとりひとり違う限界を抱えている。性別も親も容姿も、それに生まれてくる時代も選ぶことができません。

   生きていくということは限界を受け入れることであり、諦めを知ることでもあると思います。でも、それはネガティブなことではありません。

   諦めるということは自分が"明らかになる"ことでもあります。良いことも悪いことも引き受けて、その限界の中で、どう生きていくかが大切なのだと思います」>

   山田のような高名な脚本家は、つらいだろうが、書けなくなっても生活に困ることはないだろう。じっくり養生して、書きたいものがあったら口述でもできるかもしれない。だが、ノンフィクション・ライターはそうはいかない。

   松田賢弥という優れた記者がいる。私が週刊現代編集長時代に小沢一郎批判キャンペーンを続け、その後、週刊文春で小沢の妻から後援者にあてた「離縁状」をスクープした男である。小沢と同じ岩手県の出身で、東北人らしく黙々と地を這うような地道な取材をしてきた。その松田が今年の3月初め、2度目の脳梗塞で倒れた。虎の門病院に入院して手術をしたが、左手に重い後遺症が残った。現在、リハビリを続けているが、言葉もスムーズには出てこない。時々ふっと記憶を失うことがあるという。

   私が見る限り、もう一度物書きとして再起できるかというと、かなり難しいかもしれない。そのうえ、彼には再婚した妻との間に成人式近くの子供がいるが、脳梗塞になる直前に離婚していたのだ。離婚に至る夫婦の間には、いろいろなことがあったのであろう。子供に会いたいと彼はいうが、離婚後、一度も会ってはいないそうだ。元妻も顔を出さない。地元には90歳を超える母親がいるが、もはや彼が身を寄せられる場所ではない。

   あまり人付き合いのいいほうではなかった。親族との付き合いも疎遠であった。週刊現代や週刊文春の編集者たちは退院後もカンパしてくれたりと、何かと面倒を見てくれてはいるが、60を過ぎた松田の老後は、大変であろうと思わざるを得ない。

   それでなくともノンフィクション・ライターの老後は生きがたい。私はそうしたケースをいやというほど見てきている。若い時は花形ライターとしてもてはやされ、稼ぎもかなりのものがあった。しかし、当然ながら、この仕事には退職金もなければ、年を食ったからといって原稿料が上がるわけでもない。有名なノンフィクション賞をとり、何冊も本を出したが、そのほとんどが絶版になっているから、印税もほとんどない。出版社は、ノンフィクションは売れないからといって、そうしたライターたちの支えになる雑誌まで潰してしまった。

   長い時間をかけて資料を漁り、読みこみ、関係者を取材してまとめても、初版はせいぜい数千部。重版されることは稀である。今のままではノンフィクションなど書こうという人間はいなくなってしまう。それでもいいと出版社はいうだろう。しかし、70年代初めに起きたノンフィクション勃興期を知っている世代としては、今の惨状を少しでもよくするために何ができるのか、出版社はもちろん、現場の編集者たちにも真剣に考えてほしいと思う。

   出版社は、執筆する人間がいて成り立つこと、今更いうまでもないが、そんなことさえ忘れているアホな経営陣がいることは間違いない。松田のようなノンフィクション・ライター一人助けられなくて、出版社だとか編集者だとかぬかすな! 彼を病室に送りながら、「ノンフィクション・ライター死んだ。出版社も死ね」そんな言葉が浮かんだ。

トランプの敵ではないプーチンの剛毅「狼は誰を食べればいいか分かってる」

   きのう24日(2017年8月)に書き忘れたが、ニューズウイーク日本版の「プーチンロシア大統領の発言録」が面白いので紹介しておく。<「自分が正しいことを証明するためには、時には孤独になる必要がある」「オオカミは誰を食べればいいか分かっている。誰の意見を聞くこともなく食べる」「人間について知れば知るほど、犬が好きになる」>

   トランプ大統領にはいえない蘊蓄のある言葉である。

   けさ25日の朝日新聞が「北朝鮮がロシアで初となる政府公認の旅行会社を開設した」と報じている。<ロシアは今年5月、極東のウラジオストクと北朝鮮をフェリーで結ぶ定期航路を開設。最近は石油製品の北朝鮮への輸出を増やしているとみられている>

   トランプの恫喝など聞いちゃいないのである。プーチン発言録にはこんなものもある。<「ロシアに対して軍事的に優位に立てるとか圧力をかけられるなどという幻想を、誰であれ抱くべきではない。そのような無謀な試みに十分に応えてやる準備はいつでもできている」>

   "口だけ男"トランプはプーチンの敵ではないようだ。

   今井絵理子との不倫で有名になった橋本健・神戸市議の政治活動費「架空発注」疑惑で、<神戸市内の印刷業者は24日、代理人弁護士を通じて「実際には印刷の仕事をしていないのに、橋本市議に頼まれて領収書を発行した」と明らかにした>(8月25日付日刊スポーツ)

   橋本からはカネをもらっていないと話したそうだ。これでハシケンは議員辞職確実だろう。だが、悪さをするならもっとうまくやれなかったのか。所詮、議員なんぞになるのが間違いだった人間としか思えない。今井絵理子も男を見る目がなかったと今頃泣き伏しているかもしれない。そんなタマではないか。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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