2018年 7月 22日 (日)

米朝「挑発合戦」どこまで本気?ミサイル上空通過の日本大迷惑

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   北朝鮮は先月29日(2017年8月)、日本上空を通過するミサイル「火星12型」を発射した。狙いはなんなのか。北朝鮮で軍事に関わった脱北男性は「国内向けのメッセージだ」と見る。打ち上げ場所が平壌の国際空港だったからだ。「市民の目に直接触れさせて、国威発揚と体制引き締めを狙った」という。

   日本の専門家は力点が微妙に異なるが、緊張はさらに高まるという見方では一致している。森本敏・拓殖大学総長は「グアムを予告しながら、挑発を避けてハワイとアメリカ本土との間に落とした。飛距離も落とした。一種の誘いともいえます」。平岩俊司・南山大学教授は「グアムをやった場合のアメリカの対応が読めない。アメリカのレッドラインを探りながら、米韓合同軍事演習と安保理への抗議、日本を威嚇など、政治的メッセージを含む」と解説する。

   とはいえ、「火星12型」の発射で米朝の軍事的緊張は高まった。金正恩委員長は「これは序章に過ぎない」と言い、トランプ大統領は「対話は解決策ではない。対話で金をゆすり取られ続けてきた。25年間もだ」と罵った。笹川平和財団の渡部恒雄氏は「軍事手段が使えないと圧力にはならない。アメリカは軍事手段を使ってでも、北朝鮮のICBMの開発を止めたいんです」と話す。

抜け穴だらけの経済制裁―決め手は石油禁輸

   国際社会は北朝鮮に経済制裁を課しているが、抜け穴だらけの実態を調査した国連の報告書をNHKが入手した。禁輸品の石炭は第三国を経由して産地を偽装し、マレーシアやベトナムに売られていた。金融取引や武器の輸出など、この半年で2億7000万ドル(約300億円)を得ていた。とりわけ中国がらみの『制裁逃れ』が目立つ。

   アメリカのシンクタンクの調査では、この4年間に北朝鮮と取り引きのあった中国企業は延べで5233社。アメリカは制裁対象品目の扱いが多い5社に独自の制裁を課して、アメリカの金融市場から締め出した。「これは北には痛い。中国にも圧力になる」と渡部氏は言う。

   「丹東至誠金属材料有限公司」は石炭の輸入のほか、軍事転用可能品目を輸出しているとアメリカ政府は見ている。NHK記者が同社を訪ねた。住所のビルにあったのは関係のない会社だった。中朝国境の鴨緑江に浮かぶ北朝鮮軍の船舶を見ると、日本の企業名が入ったレーダーが使われていた(4社を確認)。メーカーに確認すると、「中国に輸出している」という。軍事パレードでミサイルを搭載していたトラックは中国製だった。民生用を改造したものだ。

   国連は石炭、鉄、鉄鉱石、海産物の全面禁輸を実施し、中国も参加した。北朝鮮は10億ドルの減収になるという。日米はさらに石油の輸出禁止を求めているが、中国、ロシアは慎重だ。中国は「暴発を恐れている」と平岩教授はいう。 しかし、日本やグアムの領海・領土にミサイルを撃ち込んだら、猛反撃あって北朝鮮という国が消滅するくらいのことは、金委員長もわかっている。挑発をエスカレートさせているのは、経済制裁が効いていて、国内支配が苦しくなってきているからではないか。石油禁輸はとどめになるはずだ。

NHKクローズアップ現代+(2017年8月31日放送「北朝鮮ミサイル発射 危機の行方は」)

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