2018年 5月 22日 (火)

<暗黒街>
現代のマフィア描く 利権追求の一匹狼たちのすさまじい暴力

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© 2015 Cattleya S.r.l. - La Chauve Souris

   与党の議員であるフィリッポ・マルグラディはカジノ建設を含めた再開発法案を議会に通すために政治家仲間たちに手回しをしていた。フィリッポは「サムライ」と呼ばれる地元マフィアのボスと裏社会で癒着しており、サムライもまたカジノ建設に興味を示し、出資して多額の利益を得る事を目論んでいた。しかし、フィリッポがホテルに娼婦を呼んだことをきっかけに、ある事件が起こり、事態は一転する。

   再開発法案が生み出す利権を巡る争いは、裏社会に巣食う者同士の殺し合いへと発展し、政治家、犯罪組織、売春婦、カトリック教会も巻き込んでいく。元イタリア首相シルヴィオ・ベルルスコーニの辞職という実際に起こった政治的混乱を背景にした骨太なストーリーを鮮烈な暴力描写と美しい映像表現で描いたイタリアンクライムアクションドラマ。

   「新感覚のマフィア映画」という評がしっくりくる。テレビを中心に活躍してきたステファノ・ソッリマ監督によるネットフリックスとイタリア放送協会の共同製作であり、幾つもの傑作を世に送り出してきた伝統的なイタリアンマフィアを描いておらず、現代のマフィアを淡々と描ききっている。

   サムライと呼ばれる現代マフィアは『ゴッドファーザー』シリーズのコルレオーネ・ファミリーのような家族の絆を重んじることはなく、単独で行動することが多く、利権以上の価値観は存在しない。故に、己に逆らう者が現れれば容赦なく抹殺し、利権のためならば何でもする。現代マフィアの「分かりやすさ」は映像表現ともリンクしていく。

ネットフリックスの資金が支える映像表現

   銃が飛び交うだけのアクション映画ではなく、政治、宗教、経済が複雑に絡んでいく抗争の構図を分かりやすく咀嚼できる編集やBGMの使い方は物語を明確にしていく。ネットフリックスが製作に関わってるのでハリウッド映画色が強まっているのは確かであり、評価が分かれる要素かもしれない。

   しかし、ネットフリックスが制作に関わっているからこその多額な製作資金による映像表現を成し遂げられているのも事実であり、ネットフリックスのような映像ストリーミング配信事業会社が製作に入る形式が、これからの映画製作のスタンダードになることは十分に起こりえることだろう。

   商業性と芸術性を兼ね備えた新感覚のイタリア映画は、映画が本質的に持つ無限の可能性を感じさせてくれる。

オススメ度☆☆☆

丸輪 太郎

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