2018年 11月 14日 (水)

『夫婦げんか』が子どもを壊す!両親の罵り合いで脳萎縮

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   夫婦げんかは犬も食わないなどと言っている場合ではない。日常的に繰り返される両親のけんかに接している子どもは、脳が傷ついて一部が委縮し、攻撃的性格や学習の遅れなどさまざまな影響が生じていることが分かった。脳科学者は「暴力を伴う夫婦げんかよりも、罵詈雑言を交わす言葉によるけんかの方が、子どもの脳にダメージを与えている」と語っている。

   アメリカのハーバード大学と研究を行った福井大学の友田明美教授(日本発達神経学会理事)らが、年齢層(18歳~25歳)、学歴が同程度の若者を対象に、両親の「身体的暴力の夫婦げんか」と「暴言による夫婦げんか」に接してきた人をそれぞれ抽出し、脳をMRIで調べた。どちらも脳の一部に萎縮が見られたが、身体的暴力を伴うけんかに接してきた若者の脳の委縮率は3.2%なのに対し、罵詈雑言のけんかに接してきた若者の委縮率は19.8%と6倍も大きかった。

成長してからも後遺症・・・キレやすく、学習の遅れ

   研究では、夫婦げんかで飛び交う「叱る」「脅す」「辱める」「バカにする」など15項目の暴言チェックリストを設け、毎月だったら4点、毎日なら7点などとして、合計点が40点以上の若者に脳の委縮があることがわかった。

   子ども時代に日常的に激しい両親のけんかを見てきた20歳の男子大学生はこう話す。父親は家事や育児の気に入らない点をあげつらい、日常茶飯事に母親を激しく攻め立てたという。「両親がけんかしているときは、もう遠慮なく、めちゃバチバチやり合っている感じだった。その時は本箱の中に入り、体育座りして扉を閉めて『怖いよ、怖いよ』と言いながら早く終わらないかと思いました」

   両親は離婚しけんかからは解放されたが、中学校に入ると後遺症が現われた。感情をコントロールできなくなり、家族や友人にキレやすくなった。母親は「『俺をこんなに怒らせるな』みたいなことを言ったりしましたね。元夫が再来したみたいだった」という。

   子どもが日常的に両親の暴言に接すると、脳の扁桃体や海馬に異常をきたして怒りや不安を感じやすくなる。視覚野の一部も委縮し、記憶力や学習能力が低下してしまうことが分かった。友田教授は「こういった後遺症は、ご自分の努力で何とかなるものではないので、決してご自身を責めないでください。40点以下でも脳へのダメージはゼロではないのですから、ご両親は子どもさんの目の前で激しいけんかは避けていただきたい」と強調する。

自分の長所に気付かせ褒める

   子ども時代に傷ついた脳は回復できるのか。福井大学は家庭でも取り組める方法を研究し、福井市内の小中学校で取り入れている。子どもたちに自分の長所を考えて紙に書かせる。さらに、親や友だちに長所を書いてもらい「宝物ファイル」として保存しておく。

   福井大の岩堀美雪特別研究員は「形として残しておけば、いつでも取り出して見返すことができます。自己肯定感を高めることによって、両親のけんかに悩む子どもたちを数多く救ってきました」と話す。

   夫婦げんかはどの家庭でもある。ただ、子どもの目の前ではしないことだ。

モンブラン

NHKクローズアップ現代+(2017年12月13日放送「夫婦げんかで子どもの脳が危ない!?」)

文   モンブラン
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