2018年 10月 23日 (火)

<オトナの土ドラ「家族の旅路 家族を殺された男と殺した男」>(フジテレビ系)
被害者遺族の主人公が、加害者の弁護人に! 負の感情がもつれ合う社会派ミステリー

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   東海テレビ開局60周年記念作品の第1話。脚本は昼ドラ時代の中でも名作とされる「幸せの時間」「聖母・聖美物語」を手がけたいずみ玲。制作会社は同じく昼ドラの名作「牡丹と薔薇」「冬の輪舞」などを手がけたビデオフォーカスが担当し、それだけでも否応なく期待できる作品だ。

   物語はいきなり、普通の夫婦とその父親が惨殺される衝撃的なシーンからはじまる。残されたのは、返り血を浴びた男(遠藤憲一)と赤ん坊のわめき声...。主人公の若手弁護士・浅利祐介(滝沢秀明)の見た夢だったが、実際にこのような事件が1987年1月に起こったという設定だ。主人公は、この事件で生き残った赤ん坊だ。主人公にあろうことか、家族3人を殺害した罪で死刑執行を待つ男・柳瀬光三の弁護および再審請求を、柳瀬の元妻の実娘・河村礼菜(谷村美月)から依頼されることで物語が動き出す。

担当刑事も弁護士も最初は冤罪を疑わなかったが...

   その柳瀬光三だが、何故事件を起こしたのか。柳瀬にも、当時主人公と同じくらいの年齢の赤ん坊の息子がいたが、妻のあかね(横山めぐみ)が男と駆け落ちして出て行ってしまう。最初は一人で育てるつもりだったが、健康診断で自身に胃がんが見つかり、妻の実家・花木家に子供を預けることに。しかし、花木家は引っ越していて、その家には主人公の家族・大富家が住んでいた。大富家は花木家の新居の住所を聞いて回ったり、柳瀬本人を一晩泊めてくれたりしてくれた。が、翌日花木家の新居を訪れても、妻の父・重彦(目黒祐樹)には、もう関係ないと追い返され、更に財布をなくし途方に暮れる柳瀬。結局帰りの交通費だけでも大富家に借りようと戻ったが...。

   柳瀬は逮捕直後の警察署でこう自供する。「大富さん、裕福すぎたんですよ。光男と同じ頃に生まれた祐介君はふかふかのベッドに寝かされてころころ笑っている。幸せってのはこういうもんだって、わざと見せつけられる気がして。そしたら無性に怒りがこみ上げて...」。なんとも人間のリアルな負の感情を、まざまざと表現したような台詞だが、殺害の動機としては釈然とするような、しないような...。実際、当時の担当刑事(石丸謙二郎)も柳瀬の冤罪を疑い、元担当弁護士も無罪を信じて疑わなかった。さらに、預け先に困っていたはずの息子の光男は、当時柳瀬がどうしたかも供述しないままで、今も居所が不明だ。怪しい。

「やっぱり本当に殺したのか!」とブチ切れる主人公

   最初は依頼を断った祐介だったが、同じ弁護士事務所の澤田(片岡鶴太郎)から、「弁護士である以上、感情に押し流されて可能性の芽を潰しちまうのは断じて許されない」と説得され、やはり引き受けることに。さっそく柳瀬と面会した祐介だが、今まで3度の再審請求を行いすべて棄却されている柳瀬に、「死刑の執行を遅らせるためではなく、あくまで冤罪を主張するためならもう一度再審請求をする」と言うと、柳瀬は「あなたにそんなことをしていただくわけにいきません」と言った。つまり被害者の祐介でなければ再審請求をするわけで、今までの再審請求は本気で冤罪を主張していたのではなかった。それが分かり、祐介は「やっぱりそれが真実か!」とブチ切れる。

   上質な社会派ドラマでミステリーの要素もある。登場人物の負の感情がもつれ合い、台詞のひとこと一言にずっしりと重みがある。今後の展開から目が離せない。 (放送2月3日(土)深夜23時40分~)

鯖世傘晴

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