2024年 4月 20日 (土)

〈オトナの土ドラ「限界団地」〉(フジテレビ系)
怖すぎる佐野史郎!悲しい人間ドラマと、加速するスリルとサスペンス!!

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   佐野史郎演じる主人公・寺内誠司が、かつて夢のニュータウンと言われていたが今は寂れている「あやめ町団地」に半世紀ぶりに孫娘・穂乃花と共に舞い戻るところから、ドラマはスタート。しかしその「寺内さん」の入居直後から、団地のムードは良くなる一方、周辺に不審死や失踪が相次ぐ、やや可笑しみを誘うホラーサスペンスだ。

   周辺の事件は、おそらく全て寺内さんが仕組んだものだ。団地と孫娘のためなら殺人も厭わないのだ。第4話冒頭まで以下のように7人を殺しているとみられる。

・寺内の息子夫婦(穂乃花の両親)が火事で死亡(第1話以前)
・寺内に非協力的な団地に住む老人・松本が風呂場で孤独死(第1話)
・寺内と顔なじみで協力的な団地の老人・与田が首を吊って死亡(第1話)
・団地で不倫していたPTA会長の主婦・田中郁美が行方不明(第2話)
・寺内の隣人・桜井江理子の夫、桜井高志の不倫相手・松島七海が覚醒剤の過剰摂取で殺される(第3話)
・その高志本人も直後に失踪(第3話ラスト)

「幽霊部屋」の老婆と「寺内さん」の50年の愛憎ドラマに泣けた

   そして第4話では、自分の部屋を「幽霊部屋」と住人に恐れられる、いかにも怪しい風貌の老婆・東加代子(江波杏子)と寺内さんの関係が明らかになった。

   夫が出て行った桜井家に「東加代子宅に寺内誠司が殺害した白骨死体」という怪文書が届き、気になる江理子。一方、自治会長・金田哲平も怪しい動きをし始める。自宅で寺内さんの家を盗聴し、寺内さんの行動を時刻ごとに表に整理する。実はこれは、寺内が殺したであろう息子の妻の母・菊池史代から金で受けた仕事。盗聴&行動データを、入院中の史代に転送している。

   寺内さんは幽霊部屋に、いかにも遺体が入ってそうなキャリーバッグを持って出入りするなど、加代子と何かある間柄だったが、ここで2人は半世紀前に出会った時の頃を話し始める。まだ若い加代子と、中高校生くらいの寺内さん。団地のベンチで一人読書していた寺内さんに、加代子は優しく話しかけ、お薦め本を教える仲だった(ただそこで読んでいた本が『罪と罰』、お薦めの本が『悪霊』だ)。江波杏子も本来相当な美人だが、50年前の加代子役を演じる太田緑ロランスが若いけどそっくりで、ああこんな幸せそうな時代があったんだとまじまじと思わせてくれる。

   しかし、加代子は当時の団地の文集等からも、夫を愛していたようだが、DVに遭っていたようだ。それでちょうど本を返しに来た寺内さんが、加代子を助けるためにその夫を殺してしまったのである。そこから加代子はおかしくなってしまったらしい。

   その後、自治会長・金田は、幽霊部屋を気にしている江里子をけしかけ、夜な夜な一緒に突入する。すると、2つのいかにも怪しいスーツケースが。開ける、開けないで時間を取っていると、まさかの寺内さん本人登場。これが本当に怖い。「開けるんなら開けろ」と言い始める。江里子が恐る恐るスーツケースを開けると、まさかの骨...ではなく、ファンシーなプレゼントの箱が沢山。孫娘の誕生会をここでやろうとしていただけだった。一件落着で江里子が帰った後、金田が「結局ガセかよ!」ともうひとつのケースを開けると、まさかの白骨死体!。フェイントで思わず笑ってしまう。怪文書は本物だった。これが50年前殺した加代子の夫の骨だ。

   その直後、帰宅した金田が史代との通信で泣き言を言うも、証拠をつかんだ史代は「あんたなんて必要ない!あいつはもう終わりよ...」とか夜の病室で笑っていると、カーテンにうっすら人影が...。「邪魔をするなと言ったでしょ!」寺内さんが殺しに来たのだ。このシーンも本当に怖っ!

   寺内さんがそこから戻ると、今度は加代子が旦那の骨を燃やしている。「ただの骨よ。もういい。誠司君が戻ってきて、勇気が出た。この人の所に行く」と語る加代子。寺内さんは「せっかく僕が戻ってきたのに」と言うが、加代子は「私、あなたのいる団地にはいたくない。誠司君のこと好きだったわ。地獄で待ってるわね」。その後、寺内さんは車で加代子を水辺へ連れて行き、加代子は入水自殺する。特殊に見える2人のキャラクターだが、脚本・演出の良さに加え、さすがはベテランの2人の演技で、やっぱり人間なんだと深く感じさせる。

   全8話の折り返し地点の今回は、怖さも人間ドラマも今までで一番。更なる番組の加速が期待できる。

(2018年6月30日(土)夜11:40放送)

鯖世 傘晴

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