2020年 1月 20日 (月)

イランと戦争したくないのに引くに引けなくなったトランプ!大統領再選かけて大バクチ

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   トランプ大統領による革命防衛隊司令官殺害に、イランが弾道ミサイルで報復した。本格的衝突を懸念して、株価は下がり、原油の先物が値上がりしている。どちらも本気ではあるまいと大方は読むが、トランプは何をやるか分からない非常識大統領だ。イランの報復攻撃の後にも、ツイッターに「全て順調だ(All is well)」と書いた。「戦争になってもコントロールできるぞという、大統領選の支持者へのメッセージです」と海野素央・明治大教授はいう。

   2012年、前のオバマ大統領が再選で支持率が急落したとき、トランプは「オバマに、イランかリビアへの(攻撃)カードを切らせるな。気をつけろ共和党」とツイートした。アメリカ大統領にとって、戦争は支持率を上げる切り札だからだ。立場が変わって、今度はトランプが再選でイラン攻撃オプションを持ちだしたのだと海野教授はいう。

   そもそも、イランとの核合意を一方的に抜けたのはトランプだ。制裁を強化し、アラビア海北部に空母を派遣し、中東各地に迎撃ミサイル運用部隊も配備した。司令官殺害後には「米軍は今が最強だ」ともいっている。しかし、「イランとの戦争を望んではいない」ともいう。

   アメリカの安保政策に詳しい笹川平和財団の渡部恒雄・上席研究員は、「一方で中東から軍を引きたいと思っているんです。なのに司令官殺害を指示しました。アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものだが、両方とも選挙の支持層とつながっています」と分析する。

イランもやられっぱなしでは政権が持たない

   一方のイランはどうか。最高指導者のハメネイ師は「昨夜はアメリカに平手打ちをくらわした。アメリカはこの地域から去るべきだ」と一歩も引かない。ザリーフ外相は「緊張の激化や戦争は望んでいないが、あらゆる攻撃に自衛の措置を取る」という。

   中東情勢に詳しい日本エネルギー経済研究所の保坂修司氏は、「イランも全面衝突は望んでいない。アメリカの反応次第だ」と見る。さらにアメリカが反撃して大きな被害が出たら、イランも引くに引けなくなる。「振り上げたこぶしを収める余地を残してくれないと」

   NHKワシントン支局の油井秀樹支局長は「イランの報復で今のところ米軍に被害はありません。注目はイランの次の出方です。選挙があるから、トランプ氏も弱腰は見せられない」と伝えた。

   イランの総兵力は正規軍40万人と革命防衛隊12万人の計52万人だ。中東では随一というが、兵器のレベルや継戦能力では、アメリカと正面切って戦う力はない。「イランが戦えるのは、非対称戦だ」と慶応大の田中浩一郎教授は言う。中東各地のシーア派組織への支援、武器供給をテコにした反米行動やテロ攻撃だ。

世界は大迷惑!原油は高騰、株は下落

   NHKテヘラン支局の戸川武支局長は、「イランには外交も大きな手段になります。今回の報復でも、事前にイラクに説明していました」と伝える。イランは「ウランの濃縮活動を強化する」と表明し、司令官殺害が口実を作った形だが、政府レベルでは本気ではないという。イラン国内では昨年(2019年)から反政府デモが頻発しているが、今回のことでナショナリズムが高まっても、一過性とみるべきだともいう。なんともややこしい。

   トランプにしても、側近とは一枚岩ではない。シリア、イラクからの兵力削減に反対したマティス国防長官やボルトン補佐官を解任している。「トランプは選挙だけ。ビジョンがあるわけではない」(渡部氏)

   にもかかわらず、否応なしに世界が引きずり込まれる。株安や原油高。日本政府の自衛隊派遣の閣議決定も、現地の状況次第では吹っ飛ぶかもしれない。

   *NHKクローズアップ現代+(2020年1月8日放送「中東緊迫 どうなる今後」)

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