2020年 11月 29日 (日)

93歳にして現役主筆のナベツネ語録。生臭い権力闘争の裏話は魑魅魍魎で聞きしに勝る
<BSスペシャル 独占告白 渡辺恒雄~昭和編・戦後政治はこうして作られた>(NHK BS 1)

   左翼陣営から悪の権化のように「ナベツネ」と呼ばれる読売新聞の主筆・渡辺恒雄の独占インタビューである。聞き手は東大卒の大越健介。渡辺は93歳にして現役だが、歩く時は歩行補助機につかまっている。肉体には年相応のヨボヨボ感があるが、頭の中身はどうしてどうしてシャッキリ。過去のことも明快に記憶している。
   彼は東大時代は日本共産党のオルグだった。それが就職で読売新聞社に入り、優秀でスクープを飛ばしたりし、政治部の中枢に配属される。副総理止まりだった大野伴睦の担当になって懐に深く入り込む。岸内閣時代、大野は自分が次期首相候補者だと期待していたが、ライバルの池田勇人にそのポストを攫われた。陰険な岸信介に「してやられた」裏話を渡辺は側近として見聞きしているのだ。
   可笑しい話では、中曽根康弘は貧乏で、議員会館の8畳1間に1家全員で寝起きしていたが、ある日、「今度ヴェルサイユ宮殿に引っ越す」という。行ってみると、なんと8畳間と2部屋の3部屋に増えたことを喜んでいたのだそうだ。筆者は中曽根をてっきり金持ち代議士だと思っていたので、これは初耳だった。中曽根は貧乏か。
   昭和編に続いて平成編があるのか。巨人軍私物化は気に入らないが、およそ筆者とは対極の右翼人物にしては過去話が爽快で、永田町の魑魅魍魎、権謀術数を間近で見てきた人物の貴重な体験である。ボケないうちに、もっと多く政界裏話を聞いておくべし。大越サン。(放送2020年3月7日20時~)

(黄蘭)

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