2024年 4月 20日 (土)

日本で生まれ育ちながら在留資格がなく、強制送還の対象となっている外国人の子どもたち。親が長期収容されて別離のケースも。彼らの声に耳を傾けると...

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   日本で生まれ育ちながら、在留資格のない子どもが全国におよそ300人いるという。親が難民申請を認められない、在留資格のない親から生まれて帰国できないなどが理由だ。在留資格がないと出入国管理庁の施設に収容されるが、帰国を拒否すると収容がいつまでも続く。国際的にも批判されている制度で、国連の人権理事会は「無期限収容は国際法に違反する」と日本政府に警告した。

  • NHKクローズアップ現代+の公式サイトより
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コンゴの民主化運動に参加、日本に逃れてきた母親は今、収容所の中

   埼玉県に住むコンゴ人のサムエルくん(12歳=小学6年)は、母親と離れ離れで暮らしていた。母親はアフリカのコンゴ民主共和国で、夫と民主化運動に参加し、身の危険を感じて2008年に日本に逃れてきた。難民申請をしたが認められず、その後サムエルくんが生まれた。しかし、病気で自分とサムエルくんの在留資格の申請に行けなかったため、在留資格がなくなった。2018年1月に母親は収容され、サムエルくんは未成年のため収容されなかったが、「友だちはお母さんからプレゼントをもらったりしているのに、なんで俺にはないんだろう」と泣いた。

   日本で育ったクルド人のムスタファさん(16歳=高校1年)の夢は、ゲームの開発者になることだが、実現できそうもない。在留資格のない仮放免中だからだ。仮放免では許可のない移動や就労が禁止され、健康保険にも入れない。

多くはバブル時代に3K職場で日本経済を支えてきた人々だ

   武田真一キャスターは「法にのっとった処分はされるべきだとしても、こうした人たちに手を差し伸べることはできないのでしょうか」と、石井光太さん (ノンフィクション作家)に問いかける。「なによりも問題なのは、外国人のこういうことは見えにくいということでしょうね」と指摘した。たしかに、「クローズアップ現代+」が取り上げなければ、こうした実態を知らなかった日本人がほとんどだろう。

   在留資格について長く研究を続けている国士舘大の鈴木江理子教授(移民政策)は「帰国できない事情にしっかり耳を傾ける必要があります。本人たちだけでなく、地域の人たちなども声をあげるべきだと思います」と話す。

   在留資格のない子供たちの親の多くは、1990年代のバブル時代に人手不足を補うために雇われ、働いているうちにオーバーステイ(不法滞在)となってしまった人たちだ。石井さんは「主に3Kの職場で日本経済を支えた人たちです。オーバーステイと罪悪視するのではなく、一緒に暮らしていくにはどうしたらいいのか、われわれが考えていくべきだと思います」と語った

   文・カズキ

   ※NHKクローズアップ現代+(2020年11月11日放送「日本で暮らし続けたい ~ルポ"在留資格"のない子どもたち~」

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