2021年 1月 19日 (火)

菅義偉は疲労の極に達している。主な要因はコロナ対策と経済回復を同時にやろうとする菅を忖度しない尾身茂分科会会長だ。官邸スタッフは「政府の組織なのだからこっちの意向に沿って発言しろ、と。ところが尾身さんは無視して危機を訴える。総理は怒っていますが、下手に圧力をかければ学術会議の二の舞になるのでイライラが募っている」という

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   コロナ対策と経済対策、どちらを優先すべきかで菅政権が揺れ、文春と新潮も見解が分かれている。文春は、菅がGoToに固執し過ぎて、コロナ対策がおざなりになっていると批判する。同誌によれば、11月23日、東京・赤坂にある「国際医療福祉大学赤坂キャンパス」のビルに、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長ら中枢メンバーが次々に入っていったという。

   そこで出席者から飛び出した言葉は、「首相には危機感がない」というものだったそうだ。11月に入り、北海道などで急速な感染拡大が起こり、危機感を強めた分科会は、まず、11月8日に中枢メンバーで極秘会談を開いた。翌日、尾身会長は政府に対して異例の緊急提言をし、会見でも「(状況が悪化すれば)GoToキャンペーンは当然停止だ。今が最後のチャンスだ」と警鐘を鳴らした。

   だが菅首相は「GoToは絶対に止めない」とし、「GoToトラベルは延べ4千万人の方が利用している。その中で現時点での感染者数は約180人だ」と、「誤解を招きかねないデータを出すことも厭わなくなっていました」(政治部デスク)

   だがこの数字は、宿泊施設などからの報告を受けている範囲での数字で、保健所は「基本的に、感染者がトラベルを利用したか否かは確認していない」(厚労省関係者)のだ。文春が厚労省などの資料を基に集計してみると、トラベルに東京が追加され、イーストが全国でスタートした時期を境に発症者が増えていて、「GoToが感染拡大の一つの要因なのは間違いありません」(東京都医師会の尾崎治夫会長)

   しかし、菅首相は「静かなマスク会食」などといい出し、GoToを止める気持ちはまったくないようだった。尾身会長から「医療崩壊が差し迫っている」と告げられた西村康稔経済再生相、見直しはあり得ないといっていた加藤勝信官房長官も考えを変え、11月20日の昼、2人で菅にGoTo見直しを訴えたが、なかなか首を立に振らなかったという。

  • 菅義偉首相
    菅義偉首相
  • 菅義偉首相

結局菅は、トラベル停止の判断は知事に委ねると丸投げしたため、小池百合子都知事から「国が判断すること」と痛烈に批判された。

   世論調査でも見直しを求める声が5割を超え、「GoTo継続に拘泥することは、政治的に得策ではないと判断したのでしょう」(首相周辺)、翌21日に、ようやく見直しを決めた。だが、トラベル停止から東京を外すなど中途半端な対応で、判断は都道府県知事に委ねると丸投げしたため、小池百合子都知事から「あくまでも国が判断すること」だと痛烈に批判されてしまった。

   一方新潮は、外国はいざ知らず、日本はコロナをさほど恐れることはない、GoToを止める必要などない、「せっかく動き出した経済に進んで水を差すとは、目を覆わんばかりに愚かしい」と、菅の肩を持つ。

   コロナ怖い派は、このままでは医療崩壊するというが、インフルエンザを見てみるがいい。年間1000万人程度が感染して、関連死を含めれば1万人ほどの死者が出るが、医療崩壊しないではないか。インフルでも病院で集団感染することはままあるのに、新型コロナだと医療崩壊するとパニックになるのは、指定感染症2類相当とされているためだと、いつもの持論を持ち出す。

   感染者を全数報告し、医療従事者も防御を徹底して、保健所も検査や感染者の行動追跡に人出と労力を奪われてしまうから、「政府がいま一番にやるべきことは、この感染症の法的扱いを、インフルと同じ5類相当に変えることです」(唐木英明東大名誉教授)

   私はこうした考えについて判断する材料は何もないが、欧米はどうなっているのだろう。日本だけが、インフルと同レベルに引き下げ、経済最優先政策をとり始めたら、昔のように、コロナ禍でも儲けようとする国、自分さえよければ他の国はどうなってもいいのか、「エコノミック・アニマル」といわれるのではないか。今は、安心安全なワクチンができるまで、何とかコロナを抑え込む対策を優先すべきだと、私は思う。

小池百合子都知事
小池百合子都知事

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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