2021年 11月 28日 (日)

玉木宏の「ドロドロ」ぶりが楽しみ 警察組織内の権力バトル 木曜ドラマ「桜の塔」(テレビ朝日系)

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   多部未華子にOL役が似合うように、玉木宏にはダーティーな役がよく似合う。昨(2020)年夏の「竜の道 二つの顔の復讐者」(フジテレビ系)に続き、このピカレスク・ドラマで玉木が演じるのは、出世のためなら違法行為も厭わないエリート警察官だ。

   ドラマの舞台は、首都・東京の治安を守る警視庁。その中で「エリート」と言われるキャリア組には、東京大学卒業者が集まる「東大派」、鹿児島県を中心に九州出身者が集まる「薩摩派」、地方大学卒業者が集まる「外様派」の3大派閥があり、それぞれの派閥のボスが、警視庁トップの警視総監の座を目指して切磋琢磨する......のならいいが、実際には、犯罪捜査そっちのけで足の引っ張り合いを演じている。

  • 「桜の塔」(テレビ朝日系)の番組公式サイトより。
    「桜の塔」(テレビ朝日系)の番組公式サイトより。
  • 「桜の塔」(テレビ朝日系)の番組公式サイトより。

父が遺した言葉

   そんな警視庁にあって「外様派」に属する刑事部捜査共助課理事官・上條漣(玉木宏)は、「悪魔に魂を売らなければ、本当の間違いは正せない」という歪んだ信念の持ち主だ。

   その言葉は、警視庁捜査一課刑事だった父・勇仁(岡部たかし)が自殺する直前、幼い上條に遺した言葉だった。勇仁は警察官になりたいと言う上條に、「俺は強きにくじかれた弱い人間だ」とも言っていた。勇仁は警察内部の陰謀に巻き込まれて自殺したらしい。

   警察官になった上條はそんな父親を反面教師として、高度なプロファイリング能力を武器に「必ず警察の頂点まで上り詰めてやる」という野望を胸に秘めている。

   その野望達成のためには、取りあえず派閥のボスの刑事部長・千堂大善(椎名桔平)を警視総監にするのが近道だと考える上條は、千堂のポイント稼ぎのために、証拠の捏造や犯罪のそそのかし、他派閥の手柄の横取りも平気で行う悪辣さだ。

   かつて勇仁の後輩だった2人の元警察官が、そんな強引で危なっかしい上條を陰で支える。1人は上條の情報屋・刈谷銀次郎(橋本じゅん)、もう1人は警察官僚御用達の銀座の高級クラブのママ・小宮志歩(高岡早紀)だ。2人とも勇仁に恩義を感じていて、その息子の上條の汚い『裏工作』にも協力する。

「本当の間違い」とは

   ほかに、上條のやり方に反発しながらも密かに思いを寄せる幼馴染みの捜査一課主任・水樹爽(広末涼子)、危険な匂いがする上條に強く惹かれる千堂の娘・優愛(仲里依紗)が、ドロドロとした権力ドラマに華を添える。いや、優愛の場合は、さらにドロドロを加えるというべきか。

   この異色の警察ドラマは、4月15日の初回平均視聴率13・5%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を獲得した。オリジナル脚本を手がけたのは「3年A組―今から皆さんは、人質です―」(2019年)でネット社会の闇に警鐘を鳴らし、東京ドラマアウォードグランプリなど数々の賞を総なめにした脚本家・武藤将吾だ。

   上條が正したい「本当の間違い」とは何なのか? 稀代のストーリーメーカーである武藤とダーティーな役が似合う玉木が、これからどんな人間ドラマを見せてくれるか楽しみだ。(毎週木曜21時~)

(寒山)

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