2021年 6月 23日 (水)

もう小池都知事が中止決めるしかない東京オリ・パラ!大義なし、外国の支持なしの「悲しき五輪」―他3編

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   菅政権がおかしい。衆参予算委員会で「感染爆発しても五輪はやるのか」という野党の質問に、開催するかどうかには触れず、「選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じるとともに、国民の命と健康を守っていく」と17回も繰り返した。そのほかにも、開催中にコロナに感染した選手と一般人が搬送された場合、どちらを優先するのかという質問にも、トンチンカンな答えをして質疑が中断してしまった。

   何が何でも五輪開催を押し通そうとするために、言質をとられないようにはぐらかしているのかとも思われるが、目が泳ぎ、心ここにあらずという表情を見ていると、精神的に追い詰められているように見える。

   おかしいのは首相だけではない。高橋洋一内閣官房参与がツイッターで、日本のコロナ感染状況など「さざ波」だと発信し、こんな状況で五輪を中止したら世界から笑われるという意味で末尾に「笑笑」と付けた。批判が殺到したのは当然である。

   今さらいうまでもないが、菅が五輪開催に固執するのは、閉会後に解散・総選挙をやり、現有議席の目減りを少なくして延命したいからだが、身内からも次々に「開催は無理だ」という本音が漏れてくる。週刊文春によれば、大会組織委の警備の最高責任者である米村敏明元警視総監(70)までが、親しい知人に、「こんな時期に五輪をやろうという政府は、どうかしている」と憤慨しながら語ったというのだ。米村は週刊文春に対して、「止めるべきだ」とまではいっていないと前置きした上で、こう話している。

   <「国民は、外国からたくさん人がやってくれば、感染が拡大するのではないかと思っている。それに対してどうやってリスクを取るのか、説明が必要です」>。安倍前首相も菅首相も説明責任を果たせというのだ。至極真っ当な意見である。

   菅首相がすがるのはワクチン接種しかない。そのため、「7月末までに高齢者接種を完了させる」「1日百万回接種」などと、実現不可能なことをうわ言のようにいい出した。現時点で、全国1741市区村町のうち1000ぐらいの自治体しか、7月末までに高齢者接種を終える見通しが立っていないのに。

   準備不足もあるのだろう、神戸市では3か所の集団接種会場に配送した際にミスがあり、常温のまま置いていた960回分の貴重なワクチンを廃棄せざるを得なくなってしまった。

   五輪を中止できないのは、日本側からいい出すと、莫大な違約金をIOCから要求されるという説がある。だが、週刊ポストによれば、<東京都とIOCの開催都市計画には、(本大会参加者の安全が理由の如何を問わず深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある場合は)IOCの裁量で大会を中止できると定められている。小池氏が『開催都市の知事として選手の安全を保障できない』と中止を求めれば、IOCも受け入れざるを得ないはずだ>というのである。

   また、五輪に詳しい作家の本間龍もこういう。「開催都市契約では保険加入が義務づけられており、IOCや組織委員会は中止などに備えて20億ドル~30億ドルの保険をかけていると見られる。その保険金でかなりカバーされるはずです」

   日本側が中止または再延期をいい出し、IOCが認めないなら、世界中のメディアから批判されるのはIOCのほうである。IOC側はそれを最も恐れているはずだ。ノンフィクション・ライターの沢木耕太郎が週刊文春に「悲しき五輪」という一文を寄せている。

   彼はこれまでいくつもの五輪を取材してきたが、今回に限り、「その出来事に立ち会いたいという内から湧き上がる強い思いが生まれてこないことが不思議だった」という。考えているうちに「このオリンピックに、開催の『大義』がないからではないか、と」思い至ったそうだ。

   「復興五輪」「コンパクトでエコロジカルな大会」にするという大義がなくなり、今回は「競技場に赴き、取材をして書くという仕事のすべてを断わることに決めた」。さらに沢木は、この7月に予定通り東京五輪が開催されても、紀元4世紀に始まった古代オリンピックが、関係者による不正や買収が横行して消滅したように、19世紀にはじまった近代オリンピックも同様な理由で滅びの道を歩んでいるのではないかと書いている。

   そして、外国からの支持もなく、国内においても7割以上が開催に反対していることに、「なんとかわいそうなオリンピックだろう」と慨嘆する。沢木がいうように、再延期して、来年、「世界がコロナに打ち勝った」ことを寿ぐ五輪にするのが、今のところのベターな選択であろう。

大阪ですでに始まっている「命の選別」見捨てられる70歳以上の高齢者!私も野垂れ死にを覚悟した

   インドでは1日の新規感染者が41万人を超えた(2021年5月7日)という。爆発的な感染力を持ったインド変異株は日本でも発見されていて、日本人の6割がもっているという免疫細胞、いわゆる「ファクターX」の一部から逃れる能力がある、つまり、ワクチンが効かず、何度でも感染するといわれるそうだ。

   週刊新潮は、41万人といっても、インドの人口は約14億人だから、1月に1日6万8000人を出したイギリスに換算すると1日136万人になるから、そう恐れることはないといっているが、そんなのを比べてどうするのか。

   少しホッとするのは、インド株は致死率が低く、アメリカの1.3%、ブラジルの4%と比べると、約1%だそうだ。とはいっても、大阪の感染者数は下げ止まらず、死亡者も多い。東京も似たような状況で、楽観できるものではない。大阪ではすでに「命の選別」が始まっていると週刊文春が報じている。大阪市内にある民間病院の事務長がこう語っている。

   <「今や八十代以上を受け入れないのは当たり前になりつつある。それどころか、七十歳以上ですら受け入れ拒否を検討している病院が複数あると聞きます。大きな声では言えませんが人員も病床も限られていますから、少しでも救える可能性の高い若い命を優先せざるをえないのは、致し方ないことではないでしょうか」>

   私のような後期高齢者が、路上で酒を食らってコロナに感染したら、「自己責任」だと路上にほっぽっておかれ、野垂れ死にしろというのか。まあ、それも人生かもしれない。諦めはしないが、覚悟はしておこう。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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