2024年 4月 25日 (木)

もう小池都知事が中止決めるしかない東京オリ・パラ!大義なし、外国の支持なしの「悲しき五輪」―他3編

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   菅政権がおかしい。衆参予算委員会で「感染爆発しても五輪はやるのか」という野党の質問に、開催するかどうかには触れず、「選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じるとともに、国民の命と健康を守っていく」と17回も繰り返した。そのほかにも、開催中にコロナに感染した選手と一般人が搬送された場合、どちらを優先するのかという質問にも、トンチンカンな答えをして質疑が中断してしまった。

   何が何でも五輪開催を押し通そうとするために、言質をとられないようにはぐらかしているのかとも思われるが、目が泳ぎ、心ここにあらずという表情を見ていると、精神的に追い詰められているように見える。

   おかしいのは首相だけではない。高橋洋一内閣官房参与がツイッターで、日本のコロナ感染状況など「さざ波」だと発信し、こんな状況で五輪を中止したら世界から笑われるという意味で末尾に「笑笑」と付けた。批判が殺到したのは当然である。

   今さらいうまでもないが、菅が五輪開催に固執するのは、閉会後に解散・総選挙をやり、現有議席の目減りを少なくして延命したいからだが、身内からも次々に「開催は無理だ」という本音が漏れてくる。週刊文春によれば、大会組織委の警備の最高責任者である米村敏明元警視総監(70)までが、親しい知人に、「こんな時期に五輪をやろうという政府は、どうかしている」と憤慨しながら語ったというのだ。米村は週刊文春に対して、「止めるべきだ」とまではいっていないと前置きした上で、こう話している。

   <「国民は、外国からたくさん人がやってくれば、感染が拡大するのではないかと思っている。それに対してどうやってリスクを取るのか、説明が必要です」>。安倍前首相も菅首相も説明責任を果たせというのだ。至極真っ当な意見である。

   菅首相がすがるのはワクチン接種しかない。そのため、「7月末までに高齢者接種を完了させる」「1日百万回接種」などと、実現不可能なことをうわ言のようにいい出した。現時点で、全国1741市区村町のうち1000ぐらいの自治体しか、7月末までに高齢者接種を終える見通しが立っていないのに。

   準備不足もあるのだろう、神戸市では3か所の集団接種会場に配送した際にミスがあり、常温のまま置いていた960回分の貴重なワクチンを廃棄せざるを得なくなってしまった。

   五輪を中止できないのは、日本側からいい出すと、莫大な違約金をIOCから要求されるという説がある。だが、週刊ポストによれば、<東京都とIOCの開催都市計画には、(本大会参加者の安全が理由の如何を問わず深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある場合は)IOCの裁量で大会を中止できると定められている。小池氏が『開催都市の知事として選手の安全を保障できない』と中止を求めれば、IOCも受け入れざるを得ないはずだ>というのである。

   また、五輪に詳しい作家の本間龍もこういう。「開催都市契約では保険加入が義務づけられており、IOCや組織委員会は中止などに備えて20億ドル~30億ドルの保険をかけていると見られる。その保険金でかなりカバーされるはずです」

   日本側が中止または再延期をいい出し、IOCが認めないなら、世界中のメディアから批判されるのはIOCのほうである。IOC側はそれを最も恐れているはずだ。ノンフィクション・ライターの沢木耕太郎が週刊文春に「悲しき五輪」という一文を寄せている。

   彼はこれまでいくつもの五輪を取材してきたが、今回に限り、「その出来事に立ち会いたいという内から湧き上がる強い思いが生まれてこないことが不思議だった」という。考えているうちに「このオリンピックに、開催の『大義』がないからではないか、と」思い至ったそうだ。

   「復興五輪」「コンパクトでエコロジカルな大会」にするという大義がなくなり、今回は「競技場に赴き、取材をして書くという仕事のすべてを断わることに決めた」。さらに沢木は、この7月に予定通り東京五輪が開催されても、紀元4世紀に始まった古代オリンピックが、関係者による不正や買収が横行して消滅したように、19世紀にはじまった近代オリンピックも同様な理由で滅びの道を歩んでいるのではないかと書いている。

   そして、外国からの支持もなく、国内においても7割以上が開催に反対していることに、「なんとかわいそうなオリンピックだろう」と慨嘆する。沢木がいうように、再延期して、来年、「世界がコロナに打ち勝った」ことを寿ぐ五輪にするのが、今のところのベターな選択であろう。

大阪ですでに始まっている「命の選別」見捨てられる70歳以上の高齢者!私も野垂れ死にを覚悟した

   インドでは1日の新規感染者が41万人を超えた(2021年5月7日)という。爆発的な感染力を持ったインド変異株は日本でも発見されていて、日本人の6割がもっているという免疫細胞、いわゆる「ファクターX」の一部から逃れる能力がある、つまり、ワクチンが効かず、何度でも感染するといわれるそうだ。

   週刊新潮は、41万人といっても、インドの人口は約14億人だから、1月に1日6万8000人を出したイギリスに換算すると1日136万人になるから、そう恐れることはないといっているが、そんなのを比べてどうするのか。

   少しホッとするのは、インド株は致死率が低く、アメリカの1.3%、ブラジルの4%と比べると、約1%だそうだ。とはいっても、大阪の感染者数は下げ止まらず、死亡者も多い。東京も似たような状況で、楽観できるものではない。大阪ではすでに「命の選別」が始まっていると週刊文春が報じている。大阪市内にある民間病院の事務長がこう語っている。

   <「今や八十代以上を受け入れないのは当たり前になりつつある。それどころか、七十歳以上ですら受け入れ拒否を検討している病院が複数あると聞きます。大きな声では言えませんが人員も病床も限られていますから、少しでも救える可能性の高い若い命を優先せざるをえないのは、致し方ないことではないでしょうか」>

   私のような後期高齢者が、路上で酒を食らってコロナに感染したら、「自己責任」だと路上にほっぽっておかれ、野垂れ死にしろというのか。まあ、それも人生かもしれない。諦めはしないが、覚悟はしておこう。

やっぱり出てきた新型コロナワクチンの「特権接種」ネットでは1回15万円の闇ルート

   出て来るとは思ったが、ワクチンを少しでも早く打ちたいと、役得やコネを使って順番をかすめ取ろうとする醜いジジイ、ババアたちが次々に発覚している。兵庫県神河町の山名宗悟町長(62)がワクチン集団接種の初日に受けていた。愛知県西尾市に住む「スギ薬局」チェーンの杉浦広一会長(70)と妻の昭子(67)が、「早く受けたい」と近藤芳英副市長に談じ込み、便宜を図らせたことが報じられた。

   唾棄すべき連中だが、これは氷山の一角で、まだまだ出てくるはずである。金持ちの中には、中国製のワクチンを闇ルートで手に入れて接種している者もいると、少し前に報じられた。フライデーでライターの奥窪優木が、闇ルートで中国製ワクチンを手に入れた経緯を書いている。都内でキャバクラを運営する代表から教えてもらったという。

   ロシア発のチャットツール「テレグラム」は、運営側ですら通信内容を見ることができない秘匿性の高いツールで、奥窪が「テレグラム」の掲示板を閲覧すると、「ワクチン売ります」という投稿があったそうだ。会社経営者を装い、投稿者Nにメッセージでワクチンの価格を尋ねると、「200回分で200万円」「1回分で15万円」という返事が来た。

   港区内の公園を指定され、何度かやり取りがあり、保冷バックの中に無色透明の液体が入った注射器を受け取った。5つの民間研究所に成分分析を依頼したが、新型コロナワクチンと特定する設備や知見がないと断られ、本物かどうか分からなかったそうだ。結局、奥窪はカネを払わず、真偽も分からないそうだが、どうやら、ワクチンの闇ルートというのは存在するようである。

岡庭由征 「酒鬼薔薇聖斗」と酷似する心を病んだ少年時代――ナイフの血をなめ性的興奮

   事件ものに強い週刊新潮が、一昨年(2019年)の9月23日未明、茨城県境町に住む小林光則さん(当時48歳)と、妻の美和さん(50歳)を殺害し、長男、次女にも重傷を負わせた岡庭由征(よしゆき・26歳)容疑者について詳しい特集を組んでいる。

   新潮がいうように、1997年に兵庫県神戸市須磨区で発生した連続殺傷事件で「酒鬼薔薇聖斗」と名乗った14歳(当時)の少年によく似ている。岡庭も、高校中退後の2011年に、二人の少女に相次いで刃物で襲いかかり、埼玉県警に逮捕されている。当時は16歳だったため、さいたま地裁は「保護処分が相当」と結論づけ、家裁の審判を経て、医療少年院へ送られた。

   新潮は、少年法で護られたため刑事罰を免れ、社会に解き放たれ岡庭は、残虐性を肥大化させ、人命を奪うに至ったと、少年法の"不備"を衝く。たしかに、酒鬼薔薇との共通点は多い。ネットで父親の名前で多数のナイフを購入し、猫を次々に殺している。通っていた高校に猫の首とナイフを持って行って、クラスに見せている。先の少女たちを刺した包丁を持ち帰り、自分の部屋で舐めている。法廷で岡庭は、血を舐めると性的興奮を覚え、自慰行為をしたと供述している。

   父親は息子がナイフを集め、猫などを殺していることにも無関心で、母親は「家の中だけのことと考えており、あまり深刻に受け止めていませんでした」と、危機感がなかったと供述している。父親は無関心で母親は息子のいうがままで、おばあちゃん子だった点も酒鬼薔薇と酷似している。

   残虐な行動によって性的欲求を満たそうと考えた岡庭が、ターゲットに選んだのが、自宅から30キロも離れている茨城県境町に住む小林家だったというのだ。ここは広い敷地に鬱蒼と木が茂り、家があることは地元の人間以外は知らないという。

   茨城県警は怨恨の線で交遊関係を洗っていたが、その捜査方針を転換し、流しの犯行と見て、類似事件の前歴者の洗い出しに注力し、県外にまで範囲を広げたところ、昨年6月に岡庭の名前が浮上したそうだ。岡庭の行動確認を続けながら、昨年11月に、茨城と埼玉と県警が自宅に突入して、爆弾をつくろうとしていた容疑で逮捕する。その後も地道な捜査が続けられ、現場に残されていた「足跡」が、岡庭が事件前に購入していたレインブーツと合い、殺人容疑で逮捕したのである。事件から593日が経っていた。

   酒薔薇事件後に少年法が改正され、16歳以上で殺人などの重大な犯罪を犯した者は、原則として刑事裁判に回すことになり、14歳、15歳でも家庭裁判所の判断で刑事裁判に回すことができるようになった。

   今回のケースのように、甘い保護処分で数年後に社会に放り出され、両親も責任放棄してしまえば、再び犯罪を犯す可能性は高いといわざるを得ない。むやみに厳罰主義にせよという意見には組しないが、こうした心を病んだ少年を、どうやれば社会に適合させ、暮らしていけるようにするにはどういう方策があるのかを、この事件を機に、議論を深めるべきであろう。(文中一部敬称略)

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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