日本でのビジネスはなぜ難しいのか
(3-上)「忠誠心」支えた 年功序列、終身雇用

2006/7/ 1 17:10

   多少の不満があっても、従順に働いていれば、経済的にもそれなりの人生が送れる。企業への忠誠心の見返りが、年功序列と終身雇用であるといってもおかしくない。そのシステムが戦後日本の成長を支えたのも事実だ。

   日本を代表するタイヤメーカー・ブリヂストンで1999年、中間管理職の男性が包丁をもって社長室に立てこもった。社長は米国でファイアーストン社の労使紛争を鎮圧して帰国したやり手だった。能力給制度と組織のリストラを推進する米国式経営に舵を切ったことが男には我慢ならなかった。

「同一集団で勤め上げる」が評価される

東京・丸の内の全景。日本を代表する企業のほとんどは、まだ年功序列制だ
東京・丸の内の全景。日本を代表する企業のほとんどは、まだ年功序列制だ

     「ブリヂストンは社員を大事にする会社ではなかったか」と経営の転換を社長に求め、受け入れられないと知ると、社長の目の前で胸に包丁を刺して自殺した。この事件は年功序列と終身雇用という労使慣行が日本で揺らいできた中で起きた、と見られている。
   米国で「同じ新聞社で25年働いている」と言った私に「いいチャンスがなかったのか」と、哀れみを込めた反応があったのに驚いた経験がある。
   職場を変えながらキャリアを磨く、転職でステップアップする、というのが米国流の自己実現だが、日本は「同一集団で勤め上げる」ことが良しとされてきた。
   最近は、若い人たちに転々と職と変える動きが目立つ。意欲的な転職は評価されることもあるが、社会の目はそれほど寛容ではない。「腰が定まらないのは辛抱が足りないから」「転職癖が付くと信用されない」などと言われたりもする。

(続く)

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