2024年 3月 29日 (金)

枝川二郎のマネーの虎
米国よりも深刻な欧州 金融危機が国家の財政危機に直結

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   今般の金融危機は米国のサブプライムローンがその震源となった。そのため、われわれはどうしても米国の問題に目を奪われがちになる。しかし、じつは欧州諸国の抱える問題も同程度あるいはそれ以上に深刻なのだ。

一国のGDPより大きい金融機関の資産

   欧州が深刻なのにはいくつか理由がある。まず、欧州の住宅バブルが非常に大きかったこと。過去数年間に中国、ドイツ、日本などが巨額の経常黒字を計上したが、その資金のかなりの部分が米国や欧州の住宅などの不動産投資にまわり、それがバブルをつくり出した。

   たとえば、スペインでは住宅建設ブームにより家屋の数が家庭の数の1.5倍にもなり、今では同国の至る所に空き家が並んでいるそうだ。

   各国の経常赤字の数字を見ると、米国の年間の経常赤字がここ数年GDPの5%程度であったのに比べ、英国が約4%、アイルランドが約5%、スペインが約10%という高い水準となっていた。つまり、それだけの資金が年々流入していたというわけだ。

   次に、欧州の大手金融機関が国境を越えて肥大化していったこと。UBSの総資産はスイスのGDP(国内総生産)の5倍弱、INGはオランダのGDPの3倍弱、フォルティスはベルギーのGDPの2.5倍といった具合に、総資産が国のGDPを大きく上回る銀行も少なくない(英フィナンシャルタイムズの2007年データによる)。

   ということは、銀行の自己資本や流動性が大幅に悪化した場合に、各国政府が支援するのが困難になることを意味する。金融危機が国家の財政危機に直結するわけだ。

   ちなみに、日本の銀行の貸出残高は全部の銀行を足しても400兆円ほどで、日本国のGDP約500兆円の8割程度にしかならない。

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