JALに近ツー、NTT 企業年金減額の動き相次ぐ

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   景気の「底」が見えないなか、企業年金の運用に頭を悩ませる企業が増えている。株価急落で年金資産が大幅に減少し、積み立て不足が拡大しているのだ。すでに支給額の削減を進める姿勢を明らかにしている会社も相次いでいるほか、支給額の削減を経営再建の主眼に据える会社もある。ただ、この措置に踏み切るまでには、退職者との対立が激化する企業もあったり、行政訴訟に発展するケースもあったりと、乗り越えるべきハードルは高い。

減額が企業再建策としても注目されつつある

   企業年金は、国民年金や厚生年金などの公的資金に、さらに上乗せする形で民間企業が独自に支給するもので、企業が設立した基金などが原資となる。ところが、景気後退や業績の悪化で、年金を支払うための積立額が不足する企業が続出しているのだ。

   2009年7月15日の日本経済新聞では、この問題を1面トップで特集。09年3月期末の主要上場企業400社の積み立て不足額は08年3月期末の約2倍で、総額13兆502億円。03年3月期末の20兆8191億円以来、6年ぶりの高水準になった。企業は、積み立て不足分を費用として計上せざるを得ず、経営に暗い影を落とすことになるのは必至だ。

   そんな中、企業年金の減額が、企業の再建策としても注目されつつある。例えば、経営危機に陥っている日本航空(JAL)でも、やはり年金支給額の削減が焦点だ。09年5月に発表された09年度の経営計画でも、880億円の収支改善を目指す方針を打ち出している。会社側はこの段階で、4.5%ある給付利率を大幅に引き下げ、支給額を5割以上減らしたい意向を、退職者などに対して手紙で伝えている。

   退職者側はこの動きに反発。年金削減には、現役社員と退職者それぞれの3分の2以上の同意が必要なのだが、退職者有志は、この動きに反対する「JAL企業年金の改定について考える会」を結成。同会のウェブサイトによれば、9000人いる受給者のうち、すでに3580人以上から減額阻止を求める署名が集まったといい、単純に給付額を減らすことは事実上困難になった形だ。JALへの支援策として追加融資の可能性も指摘される中、同会は9月22日付けで「融資の条件に年金減額をセットとして扱う論議には異議があり反対」などとする要請文を国交相宛に送付。強く反発している。

NTTグループの支給額減額の申請は却下

   企業年金をめぐっては、02年に松下電器産業(現・パナソニック)が、業績不振を理由に年金の給付額を引き下げ、退職者の一部が減額分の支払いを求めて相次いで裁判を起こしたことは広く知られているが、退職者が減額に同意したとしても、実際の減額に踏み切ることができないケースもある。

   NTTグループでは04年、現役世代の企業年金について実質的な減額に踏み切ったものの、05年に約14万人の退職者を対象とした支給額減額のための規約変更を厚生労働省に申請したところ、同省は06年2月になって「NTT東西では黒字決算が出ている」などとして、申請を却下した。確定給付企業年金法の施行規則では、(1)経営環境が悪化したとき(2)受給額を減額しないと掛け金が大幅に上昇し、会社側が掛け金を払うのが難しくなるとき、のみ受給額が減額できると定められているからだ。

   これに対してNTT側は、(1)減額対象者の9割から同意を取り付けている(2)黒字はリストラの成果で、経営環境は厳しい、などとして反発。NTT側は06年5月になって、国を相手取って処分取り消しを求めて行政訴訟を東京地裁に起こしたが、「減額がやむを得ないほどの経営悪化とは認められない」などとして1、2審ともにNTTが敗訴。NTT側はこれを不服として、08年7月に最高裁に上告し、現在でも係争中だ。

   最近の例では、経営再建中の近畿日本ツーリストが、09年8月11日、中期経営計画の一環として年金の給付利率の引き下げを打ち出したばかりだ。今後、同様の方針を打ち出す企業が増えるのは確実だが、実際の給付金削減に踏み切るまでに乗り越えるべきハードルは高そうだ。

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