2024年 4月 26日 (金)

「日教組のドン」輿石幹事長 「強権」「秘密主義」の組合体質露呈

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   日教組(日本教職員組合)のドンとも呼ばれる輿石東・民主党幹事長(75)が、異例の党内処分を出して物議をかもしている。党内からは「強権的だ」と反発の声も出始め、「いかにも(出身母体の)組合的手法だ」と指摘する識者もいる。

   国会の会期延長をめぐり、執行部対応への不満から辞表を出した3人の国会対策委員会幹部に対し、輿石幹事長は2011年9月20日、辞表を受理せず「謹慎1か月」とする処分を下した。「謹慎」は党の規約・規則にはなく、輿石氏による独自判断だ。

週刊文春「幹事長と『日教組』ズブズブの関係」

どうなる民主党の「党内融和」。
どうなる民主党の「党内融和」。

   一見、辞表を出した3人の顔を立てつつ、冷却期間をおいた後に元通り復帰させる「温情采配」に見えなくもない。

   しかし、元はと言えば、輿石氏ら執行部が野党の戦略を見誤り、かつ党内の情報共有を怠ったことへの反発から起きた混乱だ。輿石氏の対応について、民主党内からは「自分の失敗を隠すための措置」「強権的な進め方だ」といった反発の声が出ている。

   「輿石幹事長と『日教組』 ズブズブの関係」。9月21日に首都圏の書店などに並んだ週刊文春(9月29日号)は、こんな見出しで輿石氏の「強権ぶり」や「秘密主義」を伝えている。日教組をバックにした選挙での戦いぶりについても紹介している。

   輿石氏は、小学校教員や山梨県教組の委員長など経て、1990年に旧社会党から衆院初当選を果たした。衆院2期を務めた後に落選、98年に参院に転身した。現在、参院3期目だ。2006年には民主党の参院議員会長に就任した。

   「小沢一郎・元代表に近い」と、ことあるごとに強調される輿石氏だが、別に「根っからの小沢派」というわけではない。「原籍」は、民主党内の旧社会党グループだ。

   輿石氏が参院会長になった06年、民主党代表は小沢氏に変わった。ここから2人の蜜月関係が始まる。小沢氏は約3年間、代表を務めた。この間に2人は互いに「信頼」を厚くしていったようだ。

「政権与党が『執行部独裁』では困ります」

   その後、党代表の座は鳩山由紀夫、菅直人の両氏へ移る。その間も輿石氏は参院会長であり続け、3人の代表経験者(トロイカ)に輿石氏を加え、「トロイカ+ワン」体制とも呼ばれた。

   参院の国対委員長も経験した輿石氏は、自民党の参院幹部との太いパイプをもっている。実は、「組合至上主義者」とも指摘される輿石氏にとって、小沢氏との関係も「太いパイプ」を超えるものではない、という声もある。

   輿石氏と小沢氏とは「一心同体」という程でもなく、仮に「日教組の利益」と小沢氏の狙いとが対立すれば、輿石氏はあっさり小沢氏を捨て組合の方を取る、との分析を披露する関係者もいる。

   今回の謹慎処分などにみられる輿石幹事長の党運営手法について、「日教組」(新潮新書)などの著書がある教育評論家の森口朗氏にきいてみた。

「いかにも組合出身政治家らしい強権ぶりですね」

   森口氏によると、少なからぬ労働組合は、組合内部では「非民主的だ」。執行部方針に協力するのが当然、という空気があるのだという。日教組に限った話ではないそうだ。

   民主党は多かれ少なかれそうした体質を引きずっているが、輿石幹事長になってからは、その傾向が一層顕著になったようにみえる。「組合の流儀が染みついているのでしょう」

   森口氏は、「党内デモクラシーが欠如」する民主党に危機感を抱いている。

「野党時代ならともかく、政権与党が『執行部独裁』では困ります」

   今回の国対関係者3人の「反乱」はこれ以上広がる見込みはなさそうだ。しかし、輿石氏の「強権」に対する不満が蓄積すれば、また似たような事態が勃発し兼ねない状勢のようだ。

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