2024年 4月 19日 (金)

「ルネサス」も大リストラ、金融支援要請 どこまで落ちる「ニッポン半導体」

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   半導体大手のルネサスエレクトロニクスが、従業員約4万2000人の3割近い1万2000人を削減する経営再建計画を策定中で、大リストラに乗り出す。希望退職者への割り増し退職金などのリストラ費用として1000億円超が必要になるが、そのための金融支援(第三者割当増資の引き受け)を、母体である日立製作所と三菱電機、NECに、ルネサスの赤尾泰社長が2012年6月1日に相次いで訪問して正式に要請した。ルネサスは5月28日に、台湾最大手の台湾積体電路製造(TSMC)との提携も発表していた。

   日本の半導体企業は「DRAM(ディーラム)」と呼ばれるパソコンなどの記憶装置の国内唯一のメーカー、エルピーダメモリが2月に経営破たんし会社更生法の適用を申請したばかり。ルネサスの経営不振は、かつて世界を席巻した「ニッポン半導体」の落日を象徴している。

「マイコン」の黒字をLSIで食いつぶす

   2010年4月に設立されたルネサスは、発足後の12年3月期まで2期連続で最終赤字を計上した。13年3月期も赤字脱却の見通しが明確には立っておらず、大規模なリストラよる事業再編が不可欠となっていた。

   ルネサスは昨年の東日本大震災で、「マイコン」と呼ばれるエンジンや電気モーターの制御装置を製造する那珂工場(茨城県ひたちなか市)が被災し、操業がストップ。ルネサスの自動車向けマイコンは世界シェア4割と首位で自動車メーカーに欠かせないだけに、自動車メーカーのサプライチェーン(部品供給網)寸断の主因となった。逆に、存在感を示したともいえ、実際にマイコンはルネサスの稼ぎ頭であり、今も黒字を確保している。しかし、震災での「寸断」以来、自動車メーカーはリスク管理のために調達先の多様化を進めており、現在の地位をいつまで保てるか分からない。

   一方、複数の機能を一つのチップに詰め込んだ家電製品向けの「システムLSI(大規模集積回路)」と呼ばれる半導体事業は、納品先の家電メーカーの業績不振や韓国勢の攻勢などもあり、赤字が続いている。ルネサス全体としてみれば、せっかくのマイコンの黒字をシステムLSIの赤字で食いつぶしている状況だ。

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