2024年 4月 26日 (金)

いまでも「教育勅語」には賛同 稲田防衛相が繰り返す「道義国家」

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   国有地の売買が問題になっている森友学園では、園児に教育勅語を朗読させていたことも問題になった。教育勅語をめぐっては、その理念が「主権在君並びに神話的国体観に基いている」などとして1948年に国会で「排除」や「無効確認」の決議が行われている。

   しかし、森友学園をめぐる国会審議では、稲田朋美防衛相が教育勅語の「核の部分」を「取り戻すべき」などと主張するなど、政治の世界では賛同者は多い。稲田氏がとりわけ強調したのは「道義国家」という言葉だが、これをさらに問題視する声もある。

  • 「教育勅語」の「精神」を評価する声は多い
    「教育勅語」の「精神」を評価する声は多い
  • 「教育勅語」の「精神」を評価する声は多い

基本理念は「主権在君並びに神話的国体観に基いている」

   2017年3月8日の参院予算委員会では、稲田氏が過去の雑誌の対談で

「教育勅語の精神を取り戻すべき」

などと発言していたことについて、社民党の福島瑞穂参院議員が「考えを変えたか、変えていないか」などと質したのに対して、

「教育勅語の核である、例えば道徳、それから日本が道義国家を目指すべきであるという、その核について、私は変えておりません」
「私は教育勅語の精神であるところの、日本が道義国家を目指すべきである、そして親孝行とか友達を大切にするとか、そういう核の部分ですね、そこは今も大切なものとして維持している」
「教育勅語に流れている核の部分、そこは取り戻すべきだと考えている」

などと「核の部分」「道義国家」といったキーワードを繰り返した。

   教育勅語は1948年、国会で排除や無効確認の決議が行われている。衆議院の決議では、その理由が

「これらの詔勅の根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ国際信義に対して疑点を残すもととなる」

と説明されている。

「教育勅語自体が全く誤っているというのは私は違うと思う」

   福島氏は稲田氏に対して、教育勅語が国会決議で効力を失った理由を質したが、稲田氏は質問に答えずに

「教育勅語自体が全く誤っているというのは私は違うと思う。これは(防衛相としての)所管ではありませんけれども...。そして、今も三重県の現職の国会議員を輩出されている皇学館高校では、教育勅語の碑を校庭に置き、また、父母の日に教育勅語を全文写させている、そういう学校もある。その精神の核自体は道義国家を目指すというのは、目指すべきだと思う」

と主張。福島氏は

「教育勅語が戦前、戦争への道、あるいは国民の道徳の規範になって問題を起こしたという意識はあるか」

と反発したが、稲田氏は

「そういうような一面的な考え方はしていない」

と述べた。

文科相も教育勅語の「中身」なら「差し支えない」

   産経新聞の阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員は、3月9日付のコラム「阿比留瑠比の極言御免」で、毎日新聞が森友学園を批判しながら朝鮮学校を擁護するダブルスタンダード(二重基準)を指摘する中で、

「筆者は、教育勅語は常識的な内容で特に問題ないと考えるが、園児に『安保法制、国会通過よかったです』と言わせたのは率直にやり過ぎだと感じる」

と書いている。

   下村博文文科相(当時)も、教育勅語そのものではなく、その内容を教材にするのであれば問題ないとの考えを示している。下村氏は、14年4月8日の参院文教科学委員会で、

「学校、教育現場で活用すればとても良い道徳教育になると思う」

とする和田政宗参院議員の質疑に対して、教育勅語そのものを教材として使用することについては「相当理解を求める必要があるというふうに思う」と否定的だったが、その内容については「今日でも通用する普遍的なものがある」などと評価。

「この点に着目して学校で教材として使う、教育勅語そのものではなくて、その中の中身、それは差し支えないことだと思う」

と述べている。

   17年2月23日の衆院予算委員会でも、藤江陽子・大臣官房審議官も

「夫婦相和し、あるいは、朋友相信じなど、今日でも通用するような普遍的な内容も含まれており、こうした内容に着目して適切な配慮のもとに活用していくことは差し支えない」

と述べている。

「『道義国家』はファシズム理論のキーワード」

   一方、民進党の柿沢未途衆院議員は3月9日のフェイスブックで、教育勅語については

「流麗な雅文で、文章としては良き規範が書かれているのは事実だ」

と一定の評価をしたものの、稲田氏が繰り返した「道義国家」という単語が大問題だとみる。柿沢氏は、この単語について

「日本におけるファシズム理論のイデオローグであった大川周明が使った象徴的なキーワードに他ならない。『道義国家の原理』というそのものズバリの著作もある」

と指摘。大川は昭和初期の多くのクーデター未遂事件に関与し、5・15事件でも有罪判決を受けている。こういったことを念頭に、柿沢氏は稲田氏を

「大川周明が主唱した、この『道義国家』の精神を取り戻したいと言う。しかも歴史修正主義の思想傾向を問われた大臣が、国会答弁でそれを語る。自らファシズムの信奉者だと言ったに等しいではないか」

と批判している。

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