2024年 4月 27日 (土)

吉田昌郎・福島原発所長入院!東電ひた隠す病名と被曝線量―新聞・テレビなぜ追及しない?

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「11月6日、東電の会見で、平等党の田中さんという方が、東京都のがれき焼却の受注が東電の子会社だということを指摘し、なぜそのようなことになったのかを質問した。そしたら、東電の方から会見の出入り禁止を言い渡された」(「週刊朝日」連載・室井佑月の「しがみつく女」から)

岩手のがれき東京受け入れ―処理業者は東電子会社

   処分するのは岩手県のがれきで、そのためにかかる費用は約70億円。田中の追及で、東電子会社「東京臨海リサイクルパワー」が、放射性物質を含んだがれき処理に対して特別な技術力があるわけではないことも明らかになった。これは東京都とがれき処分業者、東電の馴れ合い『談合』ではないのか。

   この問題について報じた新聞は東京新聞一紙だけのようである。テレビなどに期待してはいないが、新聞も相変わらず東電や政府いうことをそのまま垂れ流して恥じることがない。

   一番驚いたのは、東電が11月28日(2011年)に福島第1原発の吉田昌郎所長(56)が、24日から病気療養のため入院していることを明らかにしたときである。病名を非公開にしたのは個人情報保護のためだとしたが、これに異を唱えたメディアはいなかったようである。おかしいと思わないか。福島第1原発事故の現場責任者である吉田所長が、どのような症状で入院し、その病名が何かは、いまの日本人最大の関心事である。これまで受けた放線量はどれぐらいなのかを含めて発表することは、まさに国民の知る権利に応えることである。

   個人情報保護などという法律を盾に、隠蔽しようという姑息な東電の態度を叱責し、情報公開させることこそ報道に携わる人間の使命ではないのか。東電側が嫌がっているだけで、原発事故以来全力を挙げて処理に取り組んできた吉田所長は、むしろ公開されることを望んでいるのではないだろうか。

   某紙のように、「福島第1原発の吉田所長 病気療養は『被曝と関係ない』」と、東電側の発表を鵜呑みにして流すだけなら、記者など必要ない。小学生にテープレコーダーを持たせておけばいいのだ。

世界恐慌来るのか?裏で政・官・財・報の既得権益者は大笑い

   さて、私は商学部の出だが経済と名のつくものには関心も薄いし、正直よくわからない。エジプトから火がついた欧州の経済危機は収まる気配を見せず、その余波は日本にも及ぶといわれている。各週刊誌も取り上げているが、どれを読んでも正直ピントこないのはなぜだろうか。たとえば、「週刊現代」は「世界恐慌、その現実的影響」として、「いずれやってくる超インフレに備えよ」「生保は大丈夫なのか」、その関連で「ああ、公務員だけが幸せな社会」という特集をやっている。

   「週刊ポスト」は「ボーナスは『安すぎる日本株』を買え!」、週刊文春は「『世界同時不況』日本に本格上陸!」というテーマで「リーマンショックから3年『日本人の給料』ここまで下がった!」と年代別、地域別3万人の"衝撃データ"を公開している。

   現代、文春は世界恐慌が来れば日本は大変なことになるという悲観論。現代は日銀山口広秀副総裁が「安全資産とみなされていた日本の国債が危険資産に変わるリスクがある」と発言したことの意味は大きく、国債が暴落すれば生命保険会社も破綻する恐れがあり、そのとき「契約者保護」で守られるかは危ういとする。証券会社は大再編へ動き、毎月分配型の投信はすぐ売ったほうがいいと警告する。

   文春は北見式賃金研究所・北見昌朗所長が毎年行っている調査で、平成22年の調査データ分析によると、「首都圏、関西、愛知の三大都市圏の五十歳代サラリーマンの年収が、揃って五百万をきってしまいました。私が賃金調査を始めてから、初のことです」とのこと。また、リーマンショックからわずか3年で日経平均株価は39%も落ち、東証の時価総額で140兆円も失われ、まだ株価は落ち続けるのではないかと読む。

   だが、ポストによれば日本企業の内部留保は257兆円もあり史上最高レベル。円高にもすでに多くの輸出企業は対応ができている。なのに、不景気になると自分たちの裁量が増える官僚たちにメディアは踊らされ、不景気情報しか受け取れない国民は、重税にも給与カットにも「仕方ない」と諦めてしまっている。その裏で政・官・財・報の既得権益者たちが大笑いしているというのである。

   では、どの銘柄を買ったらいいのか。個人投資家向けに投資情報を提供する藤井英敏カブ知恵代表が5つの条件をクリアした39銘柄を紹介している。5つの条件とは、時価総額300億円超、ROE(自己資本利益率)7%以上、PRB(株価純資産倍率)1.0倍以下、予想配当利回り2.0%以上、過去3年平均売上高成長率5%以上。5銘柄だけ抜き書きしてみる。「サッポロホールディングス」(株価286円=以下同じ)「旭化成」(444円)「コスモ石油」(195円)「三井金属鉱業」(178円)「日産自動車」(666円)。いかがだろうか、ボーナスでなくても、ポケットマネーで買えるほどたしかに安い。

   株だけ取り上げてもこれだけ先の見通しが違う。私は買うカネなどないからどうでもいいが、こうした先行き不透明なときは、じっとガマンするしかないのではと思ってしまうのだが。

秋篠宮「天皇定年制」発言―何かが大きく動きはじめている

   秋篠宮が46歳の誕生日会見でいったことが波紋を呼んでいると、文春が書いている。

「皇太子両殿下のところとの交流については、残念ながら、それほど多くありません」

   天皇の定年制にも言及し、定年制度は必要になってくると思うと話している。皇后もあるとき、東宮家とは途絶状態だと発言したという。両親、弟夫婦との関係がギクシャクしている長男夫婦は、関係をどう修復していくのだろうか。女性宮家創設問題も含めて、何かが大きく動き始めているのかもしれない。

談志「最後の連載」―もう無理だ。生きる『シカバネ』そのまんま

   先週も触れたが立川談志師匠の死は、まだまだ大きな波紋を呼んでいる。「お別れの会」を月命日の12月21日に東京・千代田区の「ホテルニューオータニ・鶴の間」で開催する。午後3時半からファンの献花と記帳を受け付けるそうだが、かなりの数が見込まれ、一時は東京ドームを借りてはどうかという案まであったという。

   談志師匠が連載していたこともあって、現代はグラビアも使って大談志特集をやっている。談志師匠の息子は、昨年11月に医者から咽頭がんが再発していることを聞かされていたと話している。声帯摘出がベストだと医者はいったが、それを父がよしとするわけもないから告知しなかったが、暮れに告げると、予想通り手術はしないという答えが返ってきた。「プライドが許さねぇ」といったそうだ。

   しかし今年3月になって、師匠自らが切開手術を決断して、そのために話せない、食べられない、ほとんど寝たきりの状態になってしまった。筆談でやり取りするしかない。立川志らくがとってもよくなってきたと身内が話すと、そうかそうかと喜びながら、「でも、オレが一番」と書いてよこしたそうだ。だが10月27日に容体が急変する。ほとんど意識が戻らないまま11月21日に永眠。

   私が仲介して始まった連載「談志の時事放談 いや、はや、ドーモ」は、驚くことに1度も休んでいない。苦しい中でも乱れる字ながら書き続けてきたのである。病気のことには1度も触れていないが、珍しく10月の終わりの原稿で「女房(ノン)くんのこと」と、奥さんについて書いている。

「ある時、俺が怒った。そのときの態度がよかった。『怒られちゃった』。可愛いの何の、俺、この一言でこの人を嫁さんにと決めてよかった」

   奥さんとは何度か修羅場もあったようだが、最後は愛妻と娘、息子に看取られ旅立っていった。

   今回、病状に触れていたため、身内が担当者に渡さなかった原稿が掲載されている。海が好きだった師匠が、各地の海の思い出を書き綴り、最後にこう書いている。

「もう無理だ。家元、ノドに穴をあけられ喋れず、唯、家でじっとTVを見ているか、こんな文章を書いているだけになったのだ。人間、何が来るかは判らない。まさか喋れなくなるとは思わなかった。手術は断るべきであった。おまけに胃袋に管で食事を入れるだけ。そうなると味覚もない。その前に食欲がわかない。何だろう。生きる『シカバネ』そのまんまである。(中略)誰かが昔、云った。談志さんは何も云わなくてもいいのですよ。高座に座っててくれればネ。昔、俺も同じような事を志ん生に云ったのだ。勿論本気で云ったのだが。手前ぇがそうなるとは、つゆ思わなかった‥‥‥」

   私も師匠にそう言ったことがある。高座で寝ててもいいから生きていてくださいと。

   モノクログラビア最後のページで、自宅近くの根津の銭湯で湯につかっている写真がある。表情がとてもいい。

「銭湯は裏切らないね。いつ行っても絶対に気持ちイイ」

   文春によると「二十一日、談志の遺体は、愛したディキシー・ジャズの名曲『ザッツ・ア・プレンティ(これで満足)』とともに自宅を後にした」とある。

年末年始休みはどれ読もうか…週刊文春「2011ミステリーベスト10」

   文春に恒例のミステリー通、書店員が選ぶ「2011ミステリーベスト10」が載っている。国内のベストスリーは第1位「ジェノサイド」(高野和明・角川書店)、第2位「折れた竜骨」(米澤穂信・東京創元社)、第3位「開かせていただき光栄です」(皆川博子・早川書房)。

   海外の第1位は「二流小説家」(デイヴィッド・ゴードン・ハヤカワ・ポケット・ミステリ)、第2位「犯罪」(フェルディナント・V・シーラッハ・東京創元社)、第3位「エージェント6」(トム・ロブ・スミス・新潮文庫)。

   エルヴィス・プレスリーのクリスマスソングでも聴きながら、海外4位の「007 白紙委任状」(ジェフリー・ディーヴァー・文藝春秋)を読もう。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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