2024年 4月 25日 (木)

片山祐輔「PC遠隔操作」母親は見抜いてた!「あんたがウソつくときのクセわかってる」

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片山収監直前「母は僕がウソをついていることはわかっていたみたいで、いつかこうなると…」

   もしかすると「冤罪」ではないかという説もあった「PC遠隔操作事件」だが、いったん釈放された片山祐輔被告が仕組んだ「真犯人メール」であえなく『ご用』になってしまった。『週刊現代』は「片山冤罪説」を何度となく取り上げたが、今週号で逮捕直前の片山にインタビューをして、そのことについても触れている。

   『週刊ポスト』は週刊現代の報道の仕方に批判的だが、私はいくらかでも冤罪の可能性があるのなら、そのことについて報道することは何ら批判されることではないと考える。

   週刊現代で片山被告は最初の逮捕当時の心境をこう説明している。<「猫が発見された後、江ノ島には防犯カメラがいっぱいあると報道されたんです。(猫に首輪をつけた)ベンチのすぐそばにも防犯カメラがあった、とも。僕としては『やばい、やばい、やばい』という気持ちになって、言い訳をいっぱい考えました。このときからです、自分のパソコンも遠隔操作をされているというストーリーを考えたのは。警察が1月半ばくらいには事情聴取に来るだろうな、と思っていました。そこで、自分が遠隔操作されている前提での想定問答集をつくった。これがあったから、その後、ずっと佐藤先生(博史弁護士=筆者注)たちを騙すことができたんです」>

   片山被告は2013年2月10日に逮捕されて以降、一貫して無罪を主張し、自分もパソコンを遠隔操作された被害者だと訴え続けた。警察・検察が決定的な物証を示さないこともあって、佐藤氏をはじめとする弁護団は片山被告の言い分に合理性を認め、冤罪の疑いがあると主張してきた。なぜ、片山被告は弁護団を完全に騙すことができたのか。

<「僕自身がサイコパスなんだと思います。平然とウソをつける異常者……。ただ、警察に逮捕されてからのウソは、楽しいというよりも、自分の命を守るためだったので必死でした」>

   なぜ被告は釈放後、自ら墓穴を掘るような幼稚な工作を行ったのか。彼が週刊現代に語ったところによると「母親の存在」だったという。<「判決で有罪になっても、別に真犯人がいるかのようなメールを送る仕掛けを仕込んでおくことは、ほぼ確実にやろうと思っていたんです。なぜメールを判決前に出したかというと……。母から(保釈後に)こう言われたことがあります。『他の人は気付かなくても、あんたがウソをつくときのクセは昔からわかっている』と。母は僕が無実だと、信じてくれていたわけではないんです。だからこそ信じてもらうために、別に真犯人がいるということにしたかった……」>

   いくら弁護士やメディアを騙しても、母親の目は騙せなかったのだ。その母親に何とか信じてもらおうと工作したことが命取りになった。今度は逮捕される。死んでしまおうと思ったができなかった。その間、母親とも話していなかったようだ。逮捕前、母親とようやく話し、その後でこう語っている。

<「全部受け入れるから、待っているからって。そう言ってもらえたことだけが救いです。でも、母は僕がウソをついていることはわかっていたみたいです。ぶっちゃけ、犯人だと思っていたと言っていた。いつかこうなると思っていた、と」>

   片山被告は週刊現代の記者に、誤認逮捕された被害者への真摯な謝罪を口にすることも、犯行を心から悔いている様子も見せることがなかったという。

<本誌はこれまで、無実を主張する片山被告と弁護団の証言、さらに独自取材によって、片山被告には冤罪の可能性があると複数回にわたって報道してきた。この事件では、被告以前に4名の冤罪被害者が出ており、捜査当局は公権力を乱用し、暴走している怖れがあったからだ。片山被告の逮捕で、当局が誤認逮捕を繰り返し起こしている事実が消えるわけではない。(中略)今も泣いている人々がいる。冤罪の可能性を指摘することはメディアとして当然の役割であり、これからも続けていく>(週刊現代)

   週刊ポストでは元検察官で弁護士の郷原信郎氏がこう危惧している。<「『真犯人』からのメールを捏造するという片山被告のケースはあまりにも特殊。今後、警察はこの事件を前例として『やはり被告人を保釈すると、どんなことをするかわからない。ずっと拘留しておくべきだ』と言い出すなら、それはあまりにも乱暴な飛躍です。検察改革がやっと周知されてきたところだけに、こういう事件によって改革が逆行しないことを切に願います」>

   さらに週刊ポストは<この「ネコ男事件報道」の失敗は、週刊現代のみならず、本誌を含めたメディアが共有すべき教訓である>。失敗とは私は考えないが、いい教訓であることは間違いない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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